『ウクライナ大統領を軍の最高指令官にすげ替え』

2023年12月 1日

12月1日

クライナの敗北を隠しきれなくなり、大統領を軍の最高司令官にすげかえる動き 

 ウクライナのテレビ局「1+1」は先日、自国軍の戦死者と行方不明者の合計を1126652人だと画面に表示、話題になった。局はすぐに間違いだと訂正したが、隠していた本当のデータを流してしまったと推測する人もいる。

現在、ウクライナでは政権に批判的なメディアは活動できないので、このテレビ局も政権に従属しているとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は判断していたのだろう。

前線では妊婦のウクライナ兵も見つかっている。それだけ戦死者が多いということだ。アメリカのバラク・オバマ政権は201311月から142月にかけてウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部では住民がクーデター政権を拒否、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では内戦が始まった。

 ところが、ウクライナの軍や治安機関では約7割がネオ・ナチ体制を嫌って離反、その一部はドンバス軍へ合流したと言われている。そこでアメリカ/NATOCIAFBIのメンバーのほか傭兵を送り込み、内務省の下にはネオ・ナチを主体とする親衛隊を創設、それと並行して武器を供給、兵士を訓練している。

 また、ソレダルには全長200キロメートルという岩塩の採掘場を利用した地下要塞を建設、アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリにも地下要塞を整備し、要塞線を築いた。20223月にはガザと同じようにドンバスを破壊、住民を虐殺してロシアを挑発、ロシア軍を要塞線の内側に誘い込んだうえでクリミアを別働隊に攻撃させる計画をアメリカ/NATOは立てていたとも言われているが、その直前にロシア軍がドンバス周辺に集まっていたウクライナ軍を壊滅させ、航空基地、レーダー施設、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃したとされている。

 つまり、この段階でウクライナの敗北は決定的。そこでイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役として停戦交渉を開始、双方とも妥協して停戦は実現しそうだった。ベネットは202235日にモスクワへ飛び、プーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。

その足でベネットはドイツへ向かい、シュルツと会うのだが、​その3月5日、ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。クーデター以降、SBUCIAの下部機関になったとされている。

 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と617日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している

 49日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、421日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅した。

430日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。この情報を裏付ける証言を「1+1」が1124日に放送している。与党の有力議員でトルコを仲介役とした停戦交渉でウクライナ側の中心にいたデビッド・アラカミア議員は、ボリス・ジョンソンが停戦交渉を挫折させる上で重要な役割を果たしたと語っているのだ。

ジョンソンが首相を務めていたイギリスの支配層はゼレンスキーに見切りをつけ、情報機関MI6が動き始めていると言われている。来年3月に大統領選挙が行われればゼレンスキーは破れる可能性が高いが、本人は選挙を実施するつもりがないようだ。裏で画策するか、場合によってはクーデターが実行される可能性もある。

 イギリスが後釜として考えているのはバレリー・ザルジニー最高司令官だと見られている。イギリスの有力誌エコノミストは11月1日付けでザルジニーの意見を掲載している。キエフではゼレンスキー派とザルジニー派が対立している。2014年のクーデター直後、ネオ・ナチでNATOと緊密な関係にあるドミトロ・ヤロシュがウクライナ軍最高司令官の顧問に就任、軍をコントロールしていたが、その仕組みが崩れているかもしれない。

 キエフで権力闘争が始まり、その背後には米英の支配層がいることは間違いないだろう。イギリスはゼレンスキーに見切りをつけたが、アメリカではイギリスに同調している勢力とゼレンスキーをあくまでも支えようとしている勢力がいるようだ。

 そうした抗争が始まった原因はウクライナの戦闘でアメリカ/NATOが傀儡として使ってきたゼレンスキー政権の軍隊の敗北が隠せなくなってきたことにある。アメリカ/NATOはウクライナに「総玉砕」攻撃を命令、ロシアを少しでも疲弊させようとしたが、失敗に終わった。膠着状態にあるわけではない。