『イスラエルはガザへの軍事侵攻を延期』

2023年10月16日

10月17日

 イスラエル軍は悪天候を理由にしてガザへの地上部隊投入を延期すると伝えられている。地上戦が容易でないことはイスラエルも熟知しているはずだ。20067月から9月にかけてイスラエル軍の地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北、イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されている。

ガザにいるハマスとヒズボラでは戦力が違うものの、ハマスは地下に軍事施設を建設、イスラエル軍の侵攻に備えているはずだ。そこで空からの攻撃が主体にならざるをえない。地下施設を破壊するため、イスラエル軍はGBU-43/Bを使う可能性がある。この爆弾をアメリカ軍は20174月にアフガニスタンでダーイッシュの司令部と思われる場所に投下したという。

強制収容所のような地域に押し込められ、殺されているパレスチナ人を「国際社会」はこれまで助けようとしなかった。イスラム世界の中にもパレスチナ人を見捨てた国がある。そのパレスチナ人を今回の戦闘は表に出した。イスラエル軍はヒズボラに対する攻撃も行ったが、そのヒズボラと関係の深いイランもガザへの攻撃を止めるよう呼びかけている。

イランの外相はすでにイラク、シリア、レバノンを訪問し、ヒズボラの指導者サイエド・ハッサン・ナスラッラーやレバノンの高官と会談、戦争を踏まえた「起こりうる結果」と「とるべき立場」について話し合ったとされている。イスラエルの要請もあり、ハマスに資金を提供してきたカタールもイラン外相は訪問、そこでハマスのイスマイル・ハニェと会ったも伝えられている。

 ヒズボラが戦闘に参加した場合、イスラエルやアメリカはさらに厳しい状況に陥る。この戦闘組織は精密誘導ミサイルを含む約15万発のロケット弾やミサイルを保有、イスラエルのどこでも攻撃できる。

また数千人の戦闘慣れした兵士が存在、様々な種類の軍事用ドローンを保有している。ビズボラはレバノンを拠点にしているが、そのレバノンの外相もパレスチナ人との連帯を表明した。

イスラエル軍の地上部隊がガザへ軍事侵攻した場合、ビズボラが戦闘に参加し、イスラエルも戦場になる可能性がある。ガザでの戦闘が続いた場合、イランは軍事介入すると国連を通じてイスラエルに伝えたとも報道されている。

 パレスチナからアラブ人を追い出すことをシオニストはイスラエルを「建国」する前から計画していたはずだが、完全には追い出すことができず、戦争を仕掛けて領土を拡大してきた。

今回はガザから約100万人のアラブ系住民を追い出し、難民にするつもりのようだが、そのひとつの理由は地中海東部、エジプトからギリシャにかけての海域で見つかった天然ガス田だろう。

この海域には98000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ガザ沖の天然ガスを手に入れるためにはガザを乗っ取らなければならない。

イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。

ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。ここで採掘される天然ガスや石油のマーケットはヨーロッパが想定される。その強力なライバルになるはずだったロシア産の天然ガスはウクライナでのクーデター、そしてノードストリームとノードストリーム2の爆破で排除された。

イスラエル軍によるガザへの攻撃を止めるため、ロシア軍がイスラエルを海上封鎖する可能性もあるのだが、その前にアメリカ軍はガザ沖に空母ジェラルド・R・フォードを中心とする艦隊を派遣した。さらに空母ドワイト・D・アイゼンハワーを中心とする艦隊もガザ沖に向かわせている。