10月8日
『デアスポラという言葉』
ガザに拠点をおくハマースに急激な攻撃を受け、いまイスラエルは狂気じみているようだ。無理もない、いままではイスラエル側絶対優勢の中での戦いで、イスラエル国民や軍人にはほとんど犠牲者が出ていなかった。
しかし、今回は全く様相を異にしている。イスラエル側の犠牲者つまり死者が300人をこえて出ているのだ。それに加え負傷者の数も、1500人以上、相当なものだ。これでは連戦連勝できたイスラエル側としては、きちがいじみたショックを受けていることであろう。
しかも、ハマース側の攻撃はイスラエルのほぼ全域と広がっており、ガザからエルサレムに通じる幹線道路や、イスラエル最大の国際空港テルアビブ空港とその周辺でもでも起こっている。ミサイルがガザ地区から何千発と飛んで来るのだから、大きな犠牲が出るのも仕方なかろう。
この惨事は多分にイスラエル側の気のゆるみによろうし、イランからの武器援助が多いことにもよろう。そしてながい間、一方的な攻撃を受けていたパレスチナ人の間の怒りが、頂点に達していたことにもよろう。
さて今後イスラエルはどのような報復をするのであろうか。そしてそれは成功するのであろうか。無差別攻撃をすれば、世界はイスラエルの蛮行を非難しよう。そうなるのはこれまでながい間、イスラエルが一方的な攻撃を加え続けてきているからだ。
アメリカ政府は即座にイスラエル支援を叫んでいるが、果たしてそれだけの武器の余裕がアメリカにはあるのだろうか。そして資金的余裕もあるのだろうか。アメリカは世界中で戦争を仕掛けているだけにそう簡単ではあるまい。
そしてもう一つ、アメリカのイスラエルに対する対応は、つめたくなってきている。アメリカは 傲慢なイスラエルの援助要求にうんざりし、それ以外の各国で抱えている援助にもうんざりしているのであろう.
このパレスチナ側の攻撃が長期化すれば、アラブ各国もパレスチナ支援に回らざるを得まい。そして1973年に起った第4次中東戦争のような事態に発展する懸念があろう。こんな情報を目にしていてふと頭に浮かんだのは、デアスポラという言葉だった。そうならなければいいのだが。