『西岸占領地情勢』

2023年7月 5日

7月5日

西岸占領地情勢

4日の西岸の情勢につき、アラビア語メディアから取りまとめて見たところ、中途半端かと思いますが取りあえず、次の通り・テルアビブでは4日車の衝突により、ユダヤ人8名が負傷した。犯人のパレスチナ人は殺害された。

これまでのIDFの軍事行動でのパレスチナ抵抗勢力の死者は10名、負傷者は100名(うち20名は重症)となった。西岸の都市ではゼネストのため、店は閉鎖され、町は人通りも見当たらない・ハマスはユダヤ人襲撃は当然の抵抗であり、第1歩に過ぎないとしたとりあえずのコメント次の通り・今回の事件は、パレスチナ人のフラストとイスラエル社会の右翼化の結果。

ある意味で起きるべくしておきたもので、恐らくはハマスが宣言しているとおり、今後のパレスチナ紛争激化の第1歩である可能性も否定できないパレスチナ側では、従来西岸はアッバス議長のPLO暫定政権。

ガザはハマスが支配し、それぞれ配下の武装組織等も有していたが、アッバス議長は米政権の(特にトランプ)のイスラエル偏重政策もあり、実質的な西岸支配力も奪われ、若者を主としたパレスチナ人の信頼と支持を失いつつあったこれに代わって西岸でも、ハマスやイスラムジハードの影響力が増進し、その武装勢力さえ拡大しつつあった。

その様なパレスチナ人にとっての最大のフラストの原因はイスラエルの右傾化とパレスチナ人に対する強硬な取り締まりであるが、合わせてUAE等湾岸諸国のあからさまな親イスラエル政策で、未だ国交回復までは至っていないサウデイも含めて、湾岸諸国は兄弟国でイスラム教徒のパレスチナ人を見捨て、自己の利益のために、米国を取り込んでイスラエるとの関係強化にのめり込みつつあるように見える。
 国際社会全体としては未だパレスチナ問題では、国連等でのパレスチナの国際法上の立場擁護の声は強いが、所詮はお念仏であり、ウクライナ戦争に見る通り、力のあるものの意見には逆らえない國際的雰囲気ができつつあるように見える。

いろいろと意見はあろうが、かなりの身銭を切って迄、これまでパレスチナ問題を真面目に解決しようとした主要国は米だけで(欧州諸国特に英国等は、過去の自己の悪行は棚に上げ、当たり障りの良い言葉とは裏腹に絶対に身銭を切って解決に努力しようとはしない。

ソ連に至っては明らかな嘘を使ってさえ、中東問題を対米交渉ために利用してきた)その米国もイスラエル社会、政治の右翼化に伴い。これまでの親イウラエルの立場が更に親イスラエルに偏っていった。

肝心なのはイスラエルだが、建国を主導したベングリオン率いる労働党の影響力が低下し、それまでは底辺の階層の不満吸い上げ組織と思われていたリクードの影響が増大していき、90年代を最後に労働党の指導力が回復することは2度となかった。

それどころか、それまでは右派勢力としてとかく宜しからざる噂のあったリクードが、今では右派各派の連立の中心にいて、責任右翼の感じさえ表明していることである・従来は米のみならずイスラエルも、パレスチナ問題の解決は、国際法にのとって、イスラエルの占領地からの撤退と、2国家(イスラエルとパレスチナ)方式で行くべきだとしていたのを、ひっくり返した。

エルサレムはイスラエルの永遠の首都で、パレスチナはイスラエル国家となるとの方式へお転換を進め始めた。要するにこれで、厄介問題のパレスチナ問題はパレスチナ人を無視した、または抹殺した形で最終的に解決するというもの。

これがイスラエル政府の暗黙の立ち場であり、それを湾岸諸国や米国の主要勢力が支持しているという訳で、今後このような勢いが益々強くなりそうとなれば、パレスチナ人のフラストも、強くなって当然かと思います。