『ナハダ党首をどうさばくチュニジア』

2023年5月16日

5月17日

ナハダ党指導者に対する判決と今後の中東情勢

アラビア語メディアによると、チュニジアの裁判所は15日、ナハダ党指導者ガンヌーシに対して、禁固1年、罰金300ユーロ相当の有罪との判決を下した。容疑はテロを称賛し、治安機関を独裁的と非難したことのこと。

ガンヌーシとはさすがに最近名前が出てこないが、アラブの春以降、最大党の党首として、大統領等への就任の可能性もささやかれた人物です(確か、第1党の党首ではあったが、議会の過半数を占めなかった)アラブの春以降アラブ、中東の政治は大きく変わり、ムバラク、カッダーフィ、サーレハ等の軍を背景とした独裁者が次々と倒た。

シリアのように内戦をイラン等外部勢力の支援で乗り切ったが、その様な中において、今後の中東の方向としてはイスラムを背景としつつ、原理主義運動(アルカイダやISのごとく残酷な独裁勢力)ではなく、より柔軟かつ穏健なイスラム勢力が主流となるのでは?ないかとの見方が一部に広がった。

そのうちムルシーは現大統領のシーシによるクーデターで倒され、エルドアンはどうやら先般の大統領選挙ではかろうじて1位となったが、得票率が50%未達で、2位との決戦投票になる等その威光は大きく傷ついた。

それに合わせて、今回のガンヌーシに対する有罪判決である・これを見ると「政治的イスラム」の威光も大幅減で、中東は昔ながらの湾岸王政や軍を背景としたエジプト、シリア等の強権国家が生き残り、今後の主流になるかとも思わる。

然しエジプトは経済的不手際で、極めて脆弱と言われ、シリアに至ってはアサドはイランとロシアの支援で生き延びている状況だ。イエメンとリビア(さらにスーダンでも)では、国家分裂の危険性さえありますそのような中で、毅然としているのはイランとイスラエルくらいに見える。

イランの経済情勢は益々悪化しており、イスラエルでは極右と入植者勢力の台頭が国家分裂の危険性を示しているということで、これからの中東は、湾岸諸国中心の保守復古的なものとイラン、イスラエル等の影響が相克する複雑かつ不安定なところとなっていく可能性もありそうだ。

勿論現時点で少ない手持ちの情報で、今後の情勢を云々することは、それこそ時期尚早で、当面はああでもない、こうでもない、などと言いながら情勢をフォローしていくしかないのだろう。