4月26日
ブルームバーグは、中東における中国の経済的な勢力拡張にも注目している。
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに最近、北京に本部があるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の初の海外事務所が開設された。ブルームバーグはAIIBについて、欧米主導の国際金融機関に対抗するものとして中国が設立した機関であり、将来、中東の最前線から欧米の競争相手を追い出すねらいもあるとの見方を示している。
一方、ブルームバーグによると、米国はまだすべてを失ったわけではない。米国は今も中東諸国との緊密な防衛関係や、現地通貨のドルへの固定など、地域に影響を与える一連の強力なツールを維持している。
米国は自国通貨へのアクセスが困難な中東諸国を脅かす現実的なチャンスを有しているため、ドルを突然拒否することはこれらの国にとって不安定要因になる可能性があるという。
ブルームバーグは、ドルから別の準備通貨へ移行する場合は、徐々にそれを実施する必要があるとの見方を示している。一方、ブルームバーグは、すでにこの移行の最初の兆候が見られるとしている。
2023年3月、UAEは中国に輸出するガスの決済を初めて人民元建てで行った。その前の1月には、サウジアラビアが中国政府に対し、ドル以外の通貨決済を使った貿易に関する話し合いを行う用意があることをほのめかした。
ブルームバーグは特に、中国と中東の協力は双方にとってさらに魅力的になりつつあると強調している。一方、中東の国々は、特に再生可能エネルギーや「グリーン」水素の生産でより緊密な協力をするために、中国から投資支援を取り付けようと急いでいる。
なお、このようなやり取りは、中国企業が中東市場へ参入したり、ペルシャ湾岸諸国の主要なプレーヤーとの経済的および外交的関係を強化するのを可能にするという。
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中東における中国の外交的および金融的努力の他に、ブルームバーグは、防衛協力の分野と中東における米国の優位性にとっての危険性も指摘している。同通信社は「今のところ、米国がその航路を長い間守ってきたペルシャ湾岸諸国との防衛協力について中国から重大なニュースは入ってきていない。
しかし、中国軍は近くにおり、出来事は急速に進展している」と警告している。
スプートニク通信は先に、主要な産油国のロシアやサウジアラビアとは違って、なぜ米国は中東をはじめとした外国から石油を追加購入する必要があるのかについて報じた。