2月17日
ファワーズ・ギルギス著『ISISの歴史』:アル=カーイダとダーイシュの関係とはファワーズ・ギルギスの著書『アル=カーイダと対立するダーイシュ:ジハードの再定義とグローバル主義からローカル主義への移行』の第8章では、「アル=カーイダ」と「イスラーム国」組織〔訳者注:ダーイシュと同義〕の間の対立が議論されている。
同書は、「イスラーム国」組織が経験した構造的な困難や様々な社会的状況を取り上げている。たとえば、2006年から2011年の間にイラクで「イスラーム国」組織が被った数々の攻撃、同組織に向けられたスンナ派の世論、アメリカ合衆国が名の知られたスンナ派諸指導部を親米・反「イスラーム国」へ取り込んだこと。
そして外国人志願兵の減少などを指している。米軍はイラク撤退の際に同組織を弱体化させたが、その後同組織は、世界のジハード主義のサラフ主義諸集団の中でも最も重要なものとして自らを再建した。
ギルギス氏の見るところによると、ダーイシュおよびその他の武装されたイスラーム主義諸集団の勃興は、全般的には、アラブ国家に内在する危機、すなわち、失敗した政治・経済的統治の危機に関係している。
この点から、ダーイシュとアル=カーイダ中枢部の間にある最も顕著な類似点と相違点に注目することが重要である。本書が述べるところによれば、両組織はともにジハード主義的サラフ主義の系譜に属しており、実定法ではなく神授の法により統治されるイスラーム国家樹立を支持する世界観を共有していることが確認される。
「アル=カーイダ」組織は、地下で活動をしていて、国境を横断する組織として特徴づけられるが、「ダーイシュ」組織は、ローカルなスンナ派コミュニティと融合することができ、国家の語を用いて活動している。そうすることによって、「ダーイシュ」組織は、〔ある地域の〕解放後の統治体系の基礎を脅かすものとなる。このことがダーイシュを他のジハード主義諸集団から際立たせているのである。