1月24日
エジプトも他のアラブ諸国同様に、経済的に苦しんでいる。それが国内では政治不安や大衆の不満を拡大し、何かが起こるたびに暴発するのだ。こうした問題を解決する即効薬は、外国の政府や機関からの援助〈借り入れ〉を受けることであろう。
エジプトの場合は援助を受けやすい筆頭格であろう。それは国土面積が広大であり、その地下には何が眠っているのか、いまだにはっきりしていないのだ。そればかりかエジプトは気候がいいことから、ヨーロッパやロシアからの観光客はすくなくない。加えて、エジプトはインド洋と地中海を結ぶスエズ運河を擁してもいる。
エジプトの北辺に広がる地中海海域は、軍事的に重要であり、ここを支配する者は世界の半分を支配するようなものだ。このためヨーロッパ諸国の多くは、エジプトとの間に軍事協定を結び、ひんぱんに海軍の軍事訓練が、エジプト海域で行われている。
つまり、エジプトには見える資産と見えない資産が、沢山あるということだ。この遺産を抵当に欧米諸国や企業は、エジプトにかねを貸し、その保証に物件を抵当にするのだ。
そうであるということは、ある日エジプト政府が気がつくと、広大な跡地が抵当権でがんじ柄めになっており,所有権が移転しているということがあろうし、観光地等でも同様に、めぼしいものは抵当になており、気が付いたらエジプトのものではなくなっている、ということが起きよう。
こうしたことは博物館遺跡などでも起こり、そこに外人が入った入場料は、外国企業の手に渡るという仕組みになっていよう。
日本人がエジプトの観光産業を支援し、経済的に少しでも豊かになってほしいと考えても、そうはならないのが経済の仕組みなのだ。まさにベニスの商人的な仕組みに、なっているのだ。
エジプトが持つ〈幻想〉資産を自由にしてあげたいとするならば、エジプトの抱える債務を肩代わりしてやるしかなかろう。それが現実なのだ。