1月7日
最近、毎日中東のニュースを見ていて気が付いたのだが、中東諸国は案外安定しているのではないだろうか。これといった大事件は起こっていないし、政府に対する抗議デモも多くはない。
例外はチュニジアとス-ダンなのだが、これも見ようによっては、案外穏健なものであろう。それはこれまでとは異なり、チュニジアの政府抗議デモもスーダンのそれも、景気後退に対する不満からのものであり、決して政党のイデオロギーによるものではないようだ。
以前チュニジアでは、ムスリム同胞団の別動隊であるエンナハダ党による、反政府デモが頻繁に起こっているが、それは既に押さえ込まれている。そのためチュニジアで今起こっている政府に対する抗議デモは、生活が苦しいということが、主な理由であろう。
エンナハダのような政治勢力よる反政府抗議行動の場合は、爆発力が尋常では無いが、いまのデモはそうはなるまい。同じようなことがスーダンの場合も言えそうだ。スーダンの場合も特定の政治イデオロギーによるのではなく、どうも経済苦が主たる原因なのではあるまいか。
いまは経済苦の問題はチュニジアやスーダンだけではなく、世界的に広がっている。従って、チュニジアとスーダンだけが特殊なのではないのだ。
では他のアラブはというと、ヨルダンではクーデターまがいの行動が一時期見られたが、今では完全に収まっている。
そしてシリアとイラクはというとこれも収まりつつあるようだ。シリアではアサド大統領の国内政治への采配がものをいっているようだし、イラクではサドル派のリードで安定に向かっている。
結果としてシリアもイラクもイランの強い影響から離れ、独自の道を歩んでいるようだ。こうした状況がアラブ世界で起こっていることは、過去数十年なかったのではあるまいか。公なると人の不幸を喜ぶ傾向のある分析屋や評論家は仕事がなくなる。私もその一人であろうか。