11月14R日 『イラン若者の不満暴発寸前』

2022年11月14日

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 イランの若い層の間では不満が高まっていて、今回体制側が抑え込みに成功したところで、将来のさらに大きな不満の噴出を見るだけだが、仮に抗議者が勝利した場合には、誰が政治的責任をとるのか、現在の宗教絶対の体制に代わるべきイデオロギーは何か?という問題を抱えることになろうと指摘しています。

問題を客観的に深堀した記事で興味深いと思うので、その要点のみ次の通りイランの抗議活動は、政府の厳しい弾圧(死者24名...これまで報じられていた数字の倍...・逮捕者14000名以上)にもかかわらず、抗議運動はイランの各地に広まっている。

今回の抗議は2019年以来最も深刻で長期にわたるものだが、体制側は革命以来警察や革命防衛隊に加えその補助部隊のバシージ等の実力組織を組織し、仮借ない弾圧をもって抗議運動に対峙し、これまではイスファハン、アハワズ等一部の都市で散発的な抗議があったのみで、これほどの大規模で長期にわたる抗議は見られなかった

聖職者が腐敗し、その息子どもが富を見せびらかす等の行動に出ている反面、一般のイラン人は貧困にあえぎ、また政府がイランの石油からの富を、周辺のイランに追従する勢力への支援に回していることへの反発が募っていた。

この間、ハテミとロウハニという2人の改革派の大統領が出たが、彼らの努力は保守強硬派により押さえつけられ、改革は全く進まなかった。・今後の問題はゼット世代と呼ばれる若年層の動向である。

抗議運動参加者の多くが若者である・イランの人口は8400万人だが、そのうち60%以上がこの世代で、その97%は読み書きができ、彼等にとってパソコンを通じて世界情勢に触れることは珍しくなく、以下にイランが世界の潮流から外れ、中世的世界に閉じ込められているかを知っている
 大学等の卒業生の65%が女性である彼女らにとって最大の問題は家族法で、イランの法律一般は中東諸国では進歩的であるのに、この法律で、女性は14歳から結婚が認められ、庭内で男性の支配下に置かれている。

今回も政府側が抑圧に成功すれば、民衆の大きな不満を抱え、その爆発を先送りにするだけだが、仮に抗議者側が勝利すれば、誰が政治的責任をとり(ということは現在の抗議活動には指導部というか組織がないということか?)現在のイスラム共和国の理念に代わり、如何なる理念で国をまとめていくか?という難問を抱えることとなる。