『ザポロージエに集まった「考えられない」数の傭兵』

2022年10月10日

ブログ10月10日

露軍は軍事作戦のステップアップに合わせ、エース的将軍を統括司令官に据えたロシア国防省は10月8日、新たにロシア領となったドンバス(ドネツクやルガンスク)、ヘルソン、ザポリージャでの戦闘をセルゲイ・スロビキン大将が統括して指揮すると発表した。

ロシア軍の中でエース的な存在だと言われるスロビキンは第2次チェチェン戦争を経験した後にシリアで司令官を務め、2月24日に始まった軍事作戦では南部地区を指揮していた。木の葉が落ちる冬にロシア軍は軍事作戦をステップアップさせると言われていたが、それに合わせて司令官を変えたようだ。

9月中旬、ルガンスクの西側にあるハリコフへキエフ政権の部隊が攻め込んだ。「反転攻勢」と西側の有力メディアは宣伝したが、戦闘の末というわけでなく、ロシア軍が撤退したのを見てのことだった。

現地軍やチェチェンの部隊も包囲される事態を避けるために撤退している。この地域はステップ(大草原)であり、隠れることが困難。ロシア軍は制空権を握り、高性能ミサイルも保有しているわけで、ステップへ入り込んだ部隊は格好の攻撃目標になってしまう。こうした状況は今も続いている。

 スロビキンがドンバス、ヘルソン、ザポリージャでの戦闘全般を指揮することは9月の段階で内定していたはずで、ハリコフからの撤退は新司令官の判断が影響しているのだろう。

不十分な戦力で戦略的な意味が大きくない地域を無理して守る意味はないと考えても不思議ではない。 併合の手続きが終わればドンバス、ヘルソン、ザポリージャをロシア政府はこの地域をロシア領とみなす。

軍事作戦は「友好国への支援」から「祖国防衛戦争」へ変わり、その中身も違ってくるはずだ。ウラジミル・プーチン大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表。近日中に20万人以上の戦闘員を新たに投入するとしている。戦力はこれまでの倍になるわけだ。

総動員体制で兵士を集めているほか、約30カ国から傭兵が集まっているとも伝えられている。ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。アメリカの特殊部隊はCIAと連携して動くことが少なくない。ベトナム戦争で行われた住民虐殺作戦「フェニックス・プログラム」はCIAと特殊部隊がアメリカの正規軍とは別に実行している。