『EUが受けるウクライナ戦争のダメージ』

2022年5月10日

5月10日 

 アメリカのジョー・バイデン政権はロシアを弱体化させるため、ウクライナのネオ・ナチ体制へ兵器を供給、戦闘員を送り込んでいるが、それだけでなく「制裁」と称して経済戦争 を仕掛けている。その「制裁」で日本も大きな痛手を受けるはずだが、最もダメージを受けるのはEUだろう。

天然ガスをロシアからEUへ運ぶパイプラインの多くが通過していたウクライナでバラク・オバマ政権が201311月から142月にかけてネオ・ナチを使ってクーデターを仕掛けたが、その理由のひとつはそこにある。

ノードストリーム2」の建設が始まり、アメリカの妨害を乗り越えて219月には完成した。222日にドイツ政府は「ノードストリーム2」の承認手続きを中止すると発表したのだ。ロシア政府はアメリカの経済戦争に参加している国々を「非友好国」と呼び、同国の天然ガスを購入する場合、決済は41日からロシアの通貨ルーブルに限ると発表した。

 その要求をポーランドとブルガリアは拒否、ロシアのガスプロムは4月27日にポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止すると発表した。この状態が続くなら、次の冬をEUは越すことが難しいだろうが、その前に生産活動が止まる。物流を支えているディーゼル・エンジンを動かすことが難しくなり、世界経済への影響も小さくない。

安定したエネルギー資源の供給源を必要とする中国にとってロシアとの関係強化は願ってもないことである。

 食糧の供給にも影響を及ぼしている。現在、2500万トン近い穀物がウクライナから運び出せない状況にあるという。224日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃し始めた。航空基地が破壊されたと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われたとされている。当初、アメリカ側は「偽情報」だとしていたが、そうした施設が存在していたことは記録に残っている。

 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は37日に記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語り、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるとしている。人のつながりや資金の流れから、こうした施設がCOVID-19騒動と関係している疑いが強まっている。