『ゼレンスキーの暴挙』

2022年4月20日

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 ゼレンスキー政権は3月後半、ロシア語系住民を支持基盤とする11の政党を禁止した。そうした政党のひとつを率いるビクトル・メドヴェドチュクは昨年から軟禁状態だったが、今年4月に逮捕され、手錠をかけた姿を撮影した写真が公開された。

ウクライナ側はメドヴェドチュクとウクライナ兵との交換を求めている。 20142月にアメリカのバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、これはロシア語系住民の意志を力で排除したことに等しい。

ヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部地域と南部地域は歴史的な経緯もあり、ロシア語系の住民が多いが、クーデター後、ロシア語系住民は弾圧の対象になり、ロシア語の使用も厳しく制限されるようになっていた。

 クーデタの翌月にロシアとの統合を求める住民投票を実施したクリミアでは95%以上が加盟に賛成(投票率80%以上)し、ロシアの保護下に入ったことで平穏な生活が訪れたが、ドンバス(ドネツクとルガンスク)では対応が遅れたことや地理的な問題からクーデター政権と反クーデター派との戦闘が始まった。20142月から今年2月までの間にクーデター政権が送り込んだ部隊に殺されたドンバスの住民は14000名を超したと言われている。

 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は221日にドンバスの独立を承認、224日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を始めたが、その直前、2月19日にウクライナの政治家、オレグ・ツァロフはウォロディミル・ゼレンスキー政権が近い将来、ドンバスで軍事作戦を始めると警鐘を鳴らしていた

OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、217日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。ツァロフによると、ロシアとの国境近くを制圧してウクライナの現体制に従わない住民を「浄化」、同時にSBU(治安機関)は各地のナチと共同で「親ロシア分子」を殺し始めるというクロアチア的な計画。すでに準備は整い、西側の承認も得ているとしている。

 作戦はキエフ、オデッサ、ハリコフ、ドニエプロペトロフスクなどウクライナ南東部で行う予定で、ターゲットには野党の政治家だけでなくブロガー、ジャーナリスト、オピニオン・リーダーも含まれ、住所と名前の書かれたリストはすでに作成されたと書かれていた。

戦闘が始まった後、ロシア軍はウクライナ軍が残した文書を回収しているが、それによると、ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まった2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。この作戦はゼレンスキーが118日に出した指示に従って立てられたと言われている。

 そのゼレンスキー大統領はロシア政府と交渉を始めるが、35日にロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺されたと伝えられている。クーデター以後、SBUCIAの下部機関となり、反クーデター派を拷問したり暗殺してきたと言われている。マリウポリ空港の地下にはSBUの「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたとする証言もある。