『シリア3分割』

2022年3月 7日

以下のような記事が出ていたので紹介しておく。シャルクルアウサト紙はシリアを3つに分割している。3国の境界は、この6日でトルコとロシアの衝突緩和協定から満2年を経て、安定したものになってきたと書いている。

その3国とは、米国が支持するクルド中心の民主軍SDFが支配する東部シリア、トルコが支持するイドリブ等北及び北西部FSA、そして政府軍がイランやヒズボラー等と支配する残りの地域だ。

それらの境界の中では依然多くの矛盾や相克が渦巻き、経済的な困難もあり、住民の苦痛は和らげられていないとしている。他方、現在のロシアのウクライナ侵攻がこの地域にいかなる影響を及ぼすかが注目されるところです。

そのうちイドリブ等の北部、北西部では、各種の過激派が依然蠢いているが、他との関係では、トルコがロシアとの協定に基づき、数百の車両、兵器、多数の兵員を置いて治安を確保している。 

しかし、ロシアや米は、主としてISに対する空爆を通じて、対過激派作戦を続行しており、米などはIS指導者の暗殺作戦にみられるように、降下作戦迄行っている。東部では、クルド中心のシリア民主軍を米軍が支援しているが、力の中心が米であることは変わらない。

南部ではスウェイダ等で政府に対する不満が時々噴出するが、政府は部隊の増員配備で、ダラアも含めて、これを抑え込んでいる。以上の通り、どの小国の内実も不安定であるのが実情かと思うが、そこは東アラブで、米、トルコ、イラン、ロシア(さらには最近イスラエルも入ってきたか?)等の強国の力と影響力が拮抗してきた所為か、確かに境界線は安定してきた感がする。

こんなことを書くと、他から袋たたきにされるかもしれないが、このまましばらく行き、それぞれの域内ももう少し安定すれば、シリアという国は主権国家という建前はともかく、実質的には3つの小さな国からなる地域になる可能性もあるかもしれない