『エルドアンの大構想』

2022年2月11日

 プーチンは中国を「国際的な場における我々の戦略パートナー」と断固定義し、彼と習は「主に世界の問題に対処する上で見方はほとんど同じ」だと強調した。 彼は言った。「この戦略的パートナーシップは持続可能で、本質的に貴重で、政治情勢によって影響されず、誰も標的にしていない。

それは、お互いの根本的に重要な権益の尊重、国際法の厳守と国連憲章に支えられている。」 南の発展途上諸国と、可能性としては、今ウクライナを巡るこう着状態のため値上がりした燃料価格で凍てつく冬に直面しているヨーロッパの一部地域も、これをNATOの世界観と比較し損ねることはあるまい。

 一方、エルドアンとゼレンスキーはキエフでトルコ-ウクライナ戦略的パートナーシップを再検討していた。 エルドアンはキエフでなかなかの偉業を成し遂げた。彼はウクライナで、正確に容赦ない戦争株式会社の言説に従わずに「「平和な外交的な解決」を主張したのだ。

解決は「ミンスク合意の枠組みの中で、ウクライナの領土保全と国際法を基本に」見いだされるべきだとさえ彼は言った。 それはたまたま、まさにモスクワの見解と結び付く。クレムリン報道官ドミトリー・ペスコフは以前「もしトルコがキエフにミンスク合意を実行するよう促すことができれば、モスクワはこの進展を歓迎する。」と発言していた。

 キエフへのエルドアン訪問目的は、モスクワにとって非常に油断ならない他ならぬエルドアンの女婿セルチュク・バイラクタルが所有する企業Baykar Makinaが生産するバイラクタル・ドローン共同生産を含め、いわゆる新世代貿易協定に署名することだった。

 そう、エルドアニスタンでは全て家族内だ。そして問題は-2018年以来ウクライナに売られたバイラクタルTBT2戦闘ドローンが、ドネツクの一番住民に対して使用され続けていることだ。

ラブロフとプーチン自身さえ、それに関して、アンカラに対し非常に声高に主張している。 エルドアンの地政学綱渡りには、ロシアのS-400購入と、アメリカのF-35拒否を含むが、ロシアのガスと核科学技術を受け取りながら、バイラクタルをロシアの敵に売り、一月下旬には、トルコのフルシ・アカル防衛大臣が黒海でNATOを制限する上で非常に具体的な1936年のモントルー条約の支持さえ表明した。

「今日の条件の下で[モントルー条約]をあきらめるのは問題外だ。」 ブリュッセルのNATO本部は喜ぶまい。現実は、アンカラは、経済/金融の泥沼にはまりこみ運河を作る手段を持っていない。 地政学の綱渡りで、どちらに転ぶか分からないのが、汎テュルク主義、あるいは汎ツラニズムの吸引力具体化する旧テュルク評議会、現テュルク諸国機構(OTS)の本当の狙いだ。

それは既に、「一つの民族、二つの国」にトルコ-アゼルバイジャンを団結させた去年のシュシャ宣言を越え、今やこの二国に加え、カザフスタン、ウズベキスタンとキルギスタンを取り込み、ハンガリー、アフガニスタン、トルクメニスタンに積極的に言いよっている。

小アジアとコーカサスと中央アジアを結びつける橋、あるいは南コーカサスと中央アジア間の善意の「対話」で、OTSは理論的に、黒海から新彊まであらゆる地域を見え透いたトルコ覇権下におくのだ。

 トルコ中で完全に支配されている90%以上のエルドアン・メディアが、どのように評価しているかを検討するのは実に啓発的だ。アンカラにある1000部屋のサルタン風宮殿の廊下で渦巻いている本当の計算が一体何かを反映しているのだ。

だから「トルコの脅威は、今ロシアや中国の脅威と同じぐらい強い。」 戦争株式会社が是が非でも欲しているものを手に入れれば「黒海は東地中海に変えられるだろう。完全に黒海に定着したアメリカとヨーロッパは彼らが決して去らないことを意味する。

それは「中期的、長期的にトルコの破壊をもたらしかねない。「ウクライナはロシアを止めることができない。だがトルコはそうできる。」エルドアンは、正にそれを演じているのだ。「アメリカとヨーロッパが黒海に定着するのを阻止しなければならない。

トルコ-ロシア関係は維持しなければならない。」問題は「ウクライナの一体性と国防をどのように支持しなければならない」かだ。上記の全てがエルドアンと完全に結び付く、キエフから戻ると、欧米はウクライナの危機を「悪化させる」ことを望んでいると、あらゆる修辞的銃口が炸裂し、燃え上がった。

エルドアン・メディアは「ロシアに対してトルコを押しやるようゲームが設定されている」と描き出している。