『トルコとエルドアン大統領に変化』

2021年12月18日

 どうも毎日トルコのニュースを見ていると、トルコに何らかの変化が生まれているようだ。エルドアン大統領も然りだ。エルドアン大統領の乱暴な演説の声は聞こえてこないし、周辺諸国への威圧的な発言も無い。

 エルドアン大統領はこれまでトルコが地域大国だとし、あらゆることで周辺諸国に干渉してきたし、必要があればすぐに軍を動かすという、威圧的な立場を堅持していた。それが全く感じられなくなったのだ。

 トルコにとっていま、軍を動かすとすればシリアのクルドに対してであろうが、そうした発言がありながらも、いまだに実行されていない。シリア国境には1万人をこえるトルコ軍が、集結しているという情報もあるのだが動きはないようだ。

 確かにトルコにしてみれば今の段階で、シリアのクルド人攻撃を実行することは、相当なリスクを覚悟しなければなるまい。シリアのクルド人はアメリカと協力し、IS対応をしてきているし、アメリカがシリアから盗んでいる石油の一部も、受け取っている特別な関係にある。

 クルドに手を出すということは、シリアとの軍事緊張を生むことにもなり、それはロシアも放置すまい。つまり、トルコ軍が軍事行動に出れば、アメリカもシリアもロシアも軍を動かす危険性があろうということだ。

 エルドアン大統領のテンションが下がっているのは、彼の健康に問題が有るからでろうし、周辺への強気の対応は危険すぎて、実行し難いからであろう。エルドアン大統領の健康問題は数ヶ月前から噂荒れてきていた。彼は側近の支えなしには歩行に支障をきたすと言われているし、演説中には睡魔に襲われることが有るという話だ。

 トルコリラの暴落など悪化する経済状況も彼の健康を、害しているのかもしれない。いまトルコで行なわれているアフリカ諸国のトップとの会議でも長い演説はチャブショール外相が取って代って行っている。その前にはクルド問題でアカル国防相が重要発言をしている。

 来年前半はエルドアン大統領の健康問題に、危険信号が見え始めるのではないか。トルコにとっては大問題となろう、注視が必要だ。