『アカル国防翔のクルド発言』

2021年12月16日

 クルド問題について閣僚が大統領に先だって,発言することは異例であろうと思い、今回のアカル国防相のクルドを巡る発言に注目した。1214日、アカル国防相は、「トルコとクルド人の兄弟愛」の間で争いと不安を引き起こしたい人々は成功しないと強調した。

「トルコ人とクルド人は兄弟だ。彼らの間に不安をもたらしたい人たちは、過去に成功しておらず、今日も明日も成功しない」と、アカルはバトマンの南東部の州を訪問したおりに発言した。

ISがイスラム教徒を代表していないのと同様に、テロ組織PKK/YPGは私たちのクルド人兄弟の代表にはなれない、と彼は言った。トルコ人とクルド人は「何世紀にもわたって同じパンと水を分かち合ってきた」と付け加え、「私たちの栄光の旗のために命を犠牲にした英雄たちは、殉教の中で並んで横たわった。

墓地、特にチャナッカレ殉教を見ると、この絵がはっきりと見える。PKKに対する現在進行中の治安作戦について詳しく述べ、トルコ軍はトルコ共和国の歴史の中で、最も包括的かつ効果的な作戦を行っていると述べた。

「我々のテロ対策活動は、増加するペースと暴力で続いている」と彼は言った。2015724日以降、イラク北部とシリアで合計33,112人のテロリストが殺害された、とアカルは述べた。

今年の初め以来、テロリストの死者数は2,631人に達した、と彼は付け加えた。「これらの活動を行う一方で、我々はすべての隣人の権利、法律、国境を尊重する。一方、私たちは、我が国、国、市民、国境を守るために必要なことは何でもする決意だ。私たちの唯一の標的はテロリストだ。この時点で、我々はテロ組織の崩壊を見ます」と、アカルは述べた。

何のことはない蓋を開けてみると、アカルが発言したのは政府の方針そのものであり、新味はない。それを当然であろう。トルコはクルドとは妥協しないということだった。そもそもトルコ政府はクルドとの間で妥協する余地はなく、交渉も困難であろう。

交渉の相手はアブドッラ-・オジャラン〈PKK党首〉か、HDP(クルド労働党)党首のデミルタシュであろう。二人はいま刑務所内に収監されている。オジャランはPKKとクルドの今後を語り、デミルタシュは政府との接点を語るであろう。

いまクルドには三つの選択肢がある、トルコ政府と妥協してトルコ国民として生きるか、トルコ東部をクルド自治区として生きるか、あるいは徹底抗戦して分離独立を勝ち取るかだ。

この選択はいずれも相当困難であろう。トルコ国民となることは不名誉な敗北を意味し、自治区を受け入れればトルコ側が危険視することになろうから、多くの条件が出されるはずだ。そして徹底抗戦による分離独立は、ほとんど夢物語に過ぎないだろう。

こうしたことを考えると、今回のアカル国防相の発言は、クルド人に黙ってトルコ政府に従え、そうすれば生きる余地は有るということではないのか。