『サウジアラビアが窮地に』

2021年12月13日

 サウジアラビアは今苦しんでいるのであろう。諸問題の解決へのめどが全く立っていないのだ。イランとの関係をどうするか。イエメン紛争をどう解決するか、全く先が見えていない。

 イランとの緊張関係はいまだに続いており、これがイエメンとイランとの板ばさみにあっている最大の悩みだ。このイランとの対立を沈静化するために、サウジアラビアはイラクに仲介を求めたが。イラクそのものがいまイランとの間に、問題を抱えていてどうにもなるまい。

 イラクはイランが送り込んだ革命防衛隊に対する対応で、苦慮しておりイランはイラクを属地化したとでも思っているのか、革命防衛隊を撤退させるつもりはないようだ。それがイラク在住のアメリカ軍と軍事緊張関係にあるのだ。

 イエメンとの紛争は既に6年が経過しているが、全く先が見えていない。それどころかイランから供与された武器で、イエメンのホウシグループはどんドン力をつけている。ホウシグループはいまではサウジアラビアの軍事基地攻撃や、石油施設攻撃が可能になっているのだ。

 苦しい立場のサウジアラビアはシリアに特使を派遣して、イランとの仲介を頼んでいるようだが、これも上手くいっていない。シリアそのものがイランとの間に問題を抱えているからだ。

シリアの場合はイラク同様にイランが派兵した、革命防衛隊が帰国するつもりがないのだ。革命防衛隊はイスラエルを何時でも攻撃できるように、ゴラン高原の近くに陣取っているし,シリアの首都ダマスカス近郊にも軍事基地を作っている。

この軍事基地の存在を口実に、イスラエルによって空爆されており、民間人に被害が出ている。シリアは革命防衛隊二引き上げて欲しいのだがイランにはそんなつもりは毛頭無いようだ。

イラクにしろシリアにしろ、イランにサウジアラビアを追い込むな、と説得などできる状態にはないのだ。自国のほうが苦しいのだから、イランと問題を解決したいのなら、サウジアラビアのことではなく、自国の問題解決が優先したい状態だ。

サウジアラビアは加えてカタールにも、イランとの橋渡しを頼んでいるが、これも上手くはいくまい。そもそもカタールとサウジアラビアとの関係は劣悪で、これまでサウジアラビアはGCC(アラブ湾岸強力会議)各国と組んで、カタールをボイコットしていたのだ。

サウジアラビアは背に腹はかえられないとばかりに、カタールのイランとの仲介を依頼したのだろうが、カタールが誠意を持ってこの役割を果たすとは思えない。結局のところイラクもシリアもカタールも、イランとの仲介には動いてくれまい。

そうした状態の下、サウジアラビアは今後もイランとイエメンのホウシグループの両方からはさみ討ちにあうということだ。軍事費は相当かかっているだろうが、どうもアメリカが渡した武器はあまり役立っていないようだ。

そのため、サウジアラビアの石油施設や軍事基地はホウシ・グループのドローンなどによる攻撃に遭遇しているのだが、それが上手く機能していないのだ。万事窮すか、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はどうするのだろうか。