『アメリカの中東支配戦略とその壁』

2021年11月23日

 IRGC(イラン革命防衛隊)の海軍を指揮しているアリレザ・タンシリは1121日、イランはアメリカと海上で9度にわたって衝突、9名が犠牲になったが、多くは報道されていないと語った。そのうち6回は過去18カ月の間に起こったという。

 先月の終わりにアメリカがオマーン湾でイランの石油を運ぶタンカーを拿捕し、その石油をベトナム船籍のタンカーへ移して盗もうとしたと発表された。11月3日にイラン政府が公表した映像にはタンカーの近くをアメリカの駆逐艦が航行している様子が映っている。その映っていたタンカーがベトナム船籍の船で、イランの石油を積んだまま拿捕された。その後、石油を抜き取られ、解放されという。

ネオコン(シオニストの一派)のような好戦的な勢力にとって好ましくない状況が生まれつつある。ネオコンは1980年代からイランを殲滅するべきだと考えていた。彼らの戦略はイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル派の体制を築き、トルコ、イラク、ヨルダンの親イスラエル国帯でシリアとイランを分断、個別撃破するというものだった。

国防長官だったドナルド・ラムズフェルドを中心に軍事侵略する対象の国をリストにしている。そこに乗っていた国はイラク、シリア、イランにレバノン、リビア、ソマリア、スーダンだ。911日の攻撃とは関係がない。

 20033月にアメリカ主導軍はイラクを先制攻撃、サダム・フセイン政権を倒すが、親イスラエル体制を樹立できず、戦争は泥沼化する。イランはイラク以上に制圧が困難な国で、占領するためには約240万人の兵士が必要だと推計されているが、アメリカにそれだけの戦力はない。