『トルコがシリア攻撃始めればそれは終りの始まりか』

2021年11月 9日

 トルコは相変わらずシリアのクルド人が、気になっているようだ。そのため機会があれば、クルドのミリシア・グループを殲滅したい、と考えている。だがこのシリアのミリシア・グループはアメリカのIS対応で大きな役割を、果たしたことも否定出来無い。

つまりトルコがシリアに再侵攻することになれば、その目的はクルド打倒であることから、結果的にアメリカとの間に問題を抱えることになる。場合によってはトルコ軍とアメリカ軍が、衝突することもありえよう。

 もう一つの危険性はシリアのアサド政権を支えている、ロシアの動向だ。トルコがアサド大統領の立場を無視して、軍を動かすことになれば、それは結果的に、トルコとロシアとの間に、問題を抱えることになろう。

それにも拘らず、トルコは軍をシリアの北東部に異動しており、これはソチでのプーチン・エルドアン会談の後に起こったものだ。当然、ロシア軍とトルコ軍は軍事的緊張関係に入っているということだ。

 トルコがこのような行動に出ているのは、シリア北東部のYPGの動きが、危険段階に入っているからであろう。クルド自治政府下のこの組織は、トルコの領土への侵攻も、考えているからだ。

 トルコ政府はクルド・ミリシアのYPGがここ数週間で、国境越えの作戦を実施している、と非難している。エルドアン大統領は1011日の段階で、シリアのアザズへの攻撃を、シリアのクルドの動きを判断する、試金石と語っていた。

 トルコ軍はコバニでも軍事作戦を展開しており、これはタル・タムール地区への攻撃と連動している。こうしたなか、シリア軍とロシア軍は共同でトルコ軍への対処を、考えているのだ。

 エルドアン大統領にしてみれば、2023年にある大統領選挙に向け、弱気な立場は示せない。そうしたことがトルコ軍とロシア軍の武力衝突を生み出すことに、なるかも知れない。つまり情況は極めて危険だということだ。