『アラブの対イスラエル敵視は溶解したのか』

2021年11月 9日

 アラブにとってイスラエルは、永遠の敵だとされていたのは、一昔前のことであろうか。最近では公然とイスラエルとの関係を開く、アラブの国が増えている。バハレーン、アラブ首長国連邦モロッコ、スーダンなどに続いて、サウジアラビアも実質的には関係を開いている。それはサウジアラビアの閣僚がイスラエルを、訪問していることからもわかろう。

 リビアですらハフタル将軍の子息が、イスラエルを訪問し両国関係について討議している、今後の両国の外交関係を開くことが、主題だったと伝えられている。この訪問には1224日に実施される予定の、リビアの大頭領選挙に向けた動きであろう、という分析が出ている。

 この大統領選挙にはハフタル将軍が立候補する、という憶測が流れている。それが駄目なら今回イスラエルを訪問した、息子のサダムということらしい。それを背後からイスラエルが支えてくれることを、期待しての動きであろう。

 何がこうまでもアラブ諸国をイスラエルに、向かわせているのであろうか。実はイスラエルと敵対関係にあると、アメリカに軍事攻撃を受けることになり、加えて経済制裁を受けることになる、という不安からであろう。その典型はイランでありシリアだ。

 それとは逆に、イスラエルとの関係を改善するとアメリカの覚えがよくなり、経済も動くし防衛上も有利になる、ということのようだ。つまり、イスラエルとの関係はアラブ各国の命と儲けに直結しているということのようだ。

 何せアラブ・イスラエル問題の核心であるパレスチナが、裏ではアッバース議長がイスラエルに、おんぶに抱っこなのだから締まらない限りだ。アッバース議長のパレスチナ自治政府は、面倒なことは皆イスラエルに任せ切りなのだから話にならない。

 日本政府は際限もなくパレスチナに支援を送る国の一つだが、この、パレスチナ援助の交渉はパレスチナ自治政府ではなく、イスラエル政府とやってはどうだろうかとさせ思える昨今だ。