『スーダンのクーデターは事前にアメリカに通知あった』

2021年10月29日

 スーダンで今年10月25日にアブデル・ファッター・アル・ブルハーンを中心とする軍事クーデターがあり、アブダラ・ハムドック首相が排除された。アル・ブルハーンはクーデターの前日、「アフリカの角」を担当しているアメリカ特使、ジェフリー・フェルトマンに計画を伝えていたと報道されている。

スーダンの油田は1974年にアメリカの巨大石油会社シェブロンに発見された。ところが1990年代の終盤にスーダンでは自国の石油企業が成長、アメリカの石油企業は利権を失い、中国やインドなど新たな国々が影響力を強めていく。自立の道を歩み始めた時期のスーダンを支配していたのがアル・バシール大統領だった。

スーダンの南部ではSPLM(スーダン人民解放軍)が反政府活動を開始する。SPLMを率いていたジョン・ガランはアメリカのジョージア州にあるアメリカ陸軍のフォート・ベニングで訓練を受けた人物だ。スーダンの内戦は1983年から2005年まで続き、11年に南部が独立している。

ネオコンはダルフールへ積極的に介入する。その資源に目をつけた隣国チャドの政府が反スーダン政府のJEM(正義と平等運動)へ武器を供給したことも、戦闘を激化させる一因だったが、チャドの背後にはイスラエルが存在していると生前、リビアのムアンマル・アル・カダフィは主張していた。

 

2020年10月23日、ドナルド・トランプ大統領は自らが仲介してスーダンとイスラエルとの「国交正常化」を実現したと発表した。エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦、バーレーンに次いでスーダンがイスラエルを通常の国と認めたアラブ国になったということだ。こうした合意に至ったのはトランプ政権のスーダン二対する脅しが機能したということであろう。