タリバンはアフガニスタンにおける権力を、掌握したようだが、どうも不安定さがちらほら見え出している。タリバン内部の対立が出始め、他の反タリバン部族連合との戦いも、完全に勝利しているわけではない。
諸外国との間に交わされた、タリバン政権によるアフガニスタン国内統治にも、問題が出て来ている。特に女性に対する対応では、女性に政府の高位の仕事をさせないとか、女性権利省を勧善懲悪省に変更するとかだ。
アフガニスタンではスチューワーデスが職を失うようだ。学校も結局は男女別学が決まり、女性には高度な教育を受ける機会は、禁止されたようだ。こうしたことでは将来、女性が政府や他の職場で活躍することは、ありえないだろう。
なぜこうなってしまったのかについては、やはりアフガニスタンという社会そのものに起因する、としか言いようがないのではないか。アフガニスタンは各地域の部族社会の集合体であり、しっかりした政府が出来ていないのだ。
それは今回誕生したタリバン政府だけではなく、それ以前から横たわっていた問題であろう。アメリカ軍の庇護の下に、アメリカから巨額の援助を受けていたにも拘らず、アフガニスタンの政府高官たちがそれを私物化していたため、公務員の政府への忠誠心と貢献心はぼやけていた。
その事が後の政権崩壊時に、アフガン軍の将兵が戦列から離れた原因だった。彼等の多くはタリバンが台頭すると、タリバン側に加わって働きたい、と多数の将兵が言い出したのだ。
タリバン政府は麻薬の生産についても、国際社会が喜びそうな生産削減と、最終的な廃止を言ってはいたものの、麻薬は未だにアフガニスタンの主要産品であり、現金収入源となっているのだ。
これではタリバン政府が国際社会から正式に認知され、国際機関から援助を受けるようになるには、時間がかかろう。ただ希望はアメリカがタリバンを正式に認めていると言うことであり、それに追随する日本が、巨額の援助を決めていることだ。
いまアフガニスタンでまともに動いているのは、カブール空港の運営だけであろうか。カタールはこれまでのタリバンとの関係もあり、いまでも良好な関係を維持し、カブール空港の運営に協力している。
このためカタール空港の旅客機が、カブール空港から第三国にアメリカ人やイギリス人、その他の外国人を運び出すことができている。カタールは一役重要な国として国際社会から脚光を浴び、認知される状態だ。