チュニジアではサイード大統領がメジチ首相や国防相など、政府高官の首を切ったことで、政治的内乱状態になっている。野党のナハダ党は政府の高官を首にする場合は、議論すべきだが何の話し合いも持ちかけられておらず、憲法違反だと噛み付いている。
だが、国民は必ずしもナハダ党の立場を、支持していないようだ。従って、チュニジアで反大統領の大規模デモが起こる事は、考え難いのではないか。一部の国民はナハダ党の政権になれば、ビールも飲めなくなると反対している。
ナハダ党はムスリム同胞団の政党であり、宗教的に厳しい面があり、一般庶民は受け入れ難いということだが、宗教の関係で一定の支持層を、掴んでいることは事実だ。そのバランスがこのチュニジア状勢に、今後、影響を及ぼしてくるものと思われる。
諸外国の対応を見ると、欧米諸国はサイード大統領を支持しているようだ。アメリカの政府高官は注意深く情況を、見ていくと語っている。またアラブ諸国では反ムスリム同胞団のエジプト、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどが、サイード大統領支持の立場だ。もちろん、ジプトのアハラム新聞やサウジアラビアのオカーズ新聞は、サイード支持と反ナハダの記事で埋め尽くされている。
トルコやカタールはムスリム同胞団を支持していることから、当然、反サイード大統領の立場に立っている。それでもトルコはチュニジア国民を支持する、と立場をぼやけさせているようだ。多分に経済的利益を考えての、対応と思われる。
今後の動向はというと、サイード大統領は野党の選挙での、外国からの資金受け入れを、厳しく調べていく姿勢でいる。もちろん、そのなかにはナハダ党も、調査対象に含まれるということだ。
カタールなどは相当の選挙資金を、ナハダ党に送っているのではないかと思われ、これでは国内政治ではなく、チュニジアの選挙は外国の強い影響を受けるものだ、ということになろう。幸い、チュニジア軍は中立の立場を維持している。