『中東短信』

2021年6月20日

 イランの大統領選挙の結果は、ライシー元法務大臣の強硬保守派の、当選ということになった。これからのイランの国内政治は、大分厳しいものになるのではないか、と予測される。ライシーは今後国内の汚職を撲滅すると言っている。

 さてライシーを当選させた選挙の状況だが、投票率は50パーセントを割り込み、48パーセントに留まった。だがこの投票率はそれ程悪くない、と評する専門家もいる。選挙前には30パーセント台に、落ち込むのではないか、と思われていたからだ。

そうなったら政府に対する信用と期待が、イラン国民の間には存在しない、という評価が、諸外国から出ていたろう。そのためイラン政府は、必死で投票参加を国民に、呼びかけていたのだ。

 

サウジアラビアではシーア派居住区の、アルカテイーフで逮捕された若者たちが、死刑を宣告されている。その数が数十人というのだから、恐ろしいことだ。彼ら若者はアルカテイーフで、デモに参加したことが罪状とされている。

 若者たちは逮捕された当時、まだ10代の若さだったのだ。この大量処刑発表は、若いシーア派イスラム教徒の男性、ムスタファ・ビン・ハシム・ビン・イッサ・アル・ダルウィッシュ(26)を処刑してから、1週間も経たないうちに発表された。

 アルカテイーフでデモが起こっているのは、同地域が産油地域であるにも拘らず、サウジアラビアでマイノリテイのシーア派教徒であることから、種々の差別と弾圧を受けているからだ。

 アルカテーフの抗議者たちは、改革、表現の自由、政治囚の釈放、石油が豊富な地域に対する経済的、宗教的差別の終結を要求し続けてきた。