アラビア半島の中の二つの国が戦争を続けてきた。一つは石油大国のサウジアラビアもう一つは貧困国イエメンだった。サウジアラビアはアメリカから買い込んだ最新の武器でイエメンを攻撃するのだが勝てなかった。
それはサウジアラビアとイエメンとの間は、山岳地帯であり、大型の戦闘車両を持ち込めず、空爆が主な戦闘手段だったからであろう。それとイエメンの山岳地域での戦闘は、イエメン人が地の利を得ていることもあったろう。
それに加え最近では、イエメンがイランから援助されたミサイルや、ドローンでサウジアラビアの石油施設や軍の空港、民間空港に加え首都のリヤドまでもが攻撃されていた。このためサウジアラビア国内では、次第に戦争反対の厭戦の雰囲気が、広がってきているのであろうし、政府特にムハンマド・ビン・サルマン皇太子への批判が出ていることであろう。
サウジアラビアの最近の停戦交渉への意欲は、彼らの弱体化した立場を、反映しているのであろう。しかし、サウジアラビアが提案した停戦と、米国の仲介者ティム・レンダーキング特使が提示した条件は、イエメン側の特にホウシ・グループに対して、厳しい条件を突きつけているようだ。
アメリカとサウジアラビアは、彼らがホウシ・グループに提案した計画は、彼らが休戦を受け入れるのではなく、サウジアラビアが戦い続けることを奨励することができるもので、彼らが平和を追求していると主張することは、正直ではないと見ている。
戦争を終わらせるためには、通常敗者に勝利者が条件を提示するものだ。勝利者に要求を突きつけることは逆だ。サウジアラビアは戦い続けるであろう。サウジアラビアは、イエメンでの6年間の戦争を終わらせるための新しい「和平イニシアチブ」を提案した。このオファーには、全国的な停戦とサナアの再開を条件にしているようだ。
アメリカにしてみれば、サウジアラビアに膨大な金額と、大量の武器を輸出出来、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子にすれば、面子が保てる戦争ということであろうか。何事においても、金が力を持ち利益が物事を、正しい方向に向けないということであろうか。