『イランの大統領選挙関連情報』

2021年6月 2日

 イランでは6月後半に大統領選挙の、投票が行なわれる予定だ。しかし、案外投票率は低いだろう、という予想がなされている。述べるまでも無く、イラン政府にしてみれば、投票率が高く国民が公正な選挙を信じているように、外部に宣伝したいだろう。

 だが、これまで有権者として、ガーディアン評議会に認められた候補者は少なく、ほとんどが保守派の人士だ。620日に候補者リストが発表されて以来、予想投票率が7%減少し、わずか36%に低下したが、それが現在イランのソーシャルメディアの傾向となっている。

これまでの選挙では、投票率が低いため、通常は強硬派や保守派が優位に立っていた。投票率が低いということは、政府支持者の票が高い割合であり、反政府派は投票しないために投票率が下がるからだ。

イランの大統領選挙では1997年以来、大統領選挙は二極化しており、候補者は強硬派と改革派そして中道派のいずれかに属している。しかし、ガーディアン評議会からの最近の指令は、事実上、ほとんどの改革派または中道派の候補者が、今年大統領選挙に立候補することを禁じた。

つまり、今年の選挙では保守派、あるいは強硬派の候補者たちだけ、ということになっている。登録した数十人の著名な政治家のうち、ガーデアン評議会によって承認されたのは、わずか7人だった。そのうちわずか2人が改革派あるいは中道派の候補者であり、どちらも知名度が低いと考えられている。

いまの段階では、ライシ司法長官が最も有力な候補者であり、一部の州の世論調査によると、彼は強硬派の間で最も支持を得ている、候補者ということだ。一部の観察者は、立候補することを許された他の人々は、ライシ氏の立候補を助けるために立候補したのであり、ライシ候補者を支持しているだけだと信じていためだと言うことのようだ。

これだけ徹底して保守強硬派の大統領を、当選させる必要があるのは庶民の生活が急迫しているためだ。例えば、イランではいまインフレ率が50%に達し、同国史上最悪の経済危機の状態にある。BBCモニタリングのキアン・シャリフィは、イラン人が鶏肉を買うために列を作っている理由を説明している

政府が201911月にガソリンの価格を引き上げた時、何千人もの人々が100以上の都市で通りに出てデモをした。イランの体制内のほとんどの強硬派は、米国との協議を無意味とみなすが、改革派や中道派は賛成している。

金融行動タスクフォース(FATF)など、国際的なマネーロンダリング防止組織への参加、地域のライバルであるサウジアラビアとの和解、イランのイスラエルに対する侵略の削減を支持している。だが、米国との関係を正常化したり、イスラエルを国家の認識は、現在は考えられないことだ。