『イラクにおけるISの実情』

2021年6月12日

 イラクに居住する元IS(ISIL)のメンバーに関する長文の原稿が、エジプトのアルアハラム紙に掲載されている。読み疲れるので、一部だけ紹介することにする。イラクに居住するIS(ISIL)のメンバーとその家族は、未だにそのIS(ISIL)のイメージが抜け切らず、白眼視されているようだ。

 今日、イラクのスンニー派が住む州では、平和が広がっているにもかかわらず、2014年のイスラム国(IS)グループの台頭に続いて、町や都市から逃れた何千人もの難民は、いまだに帰国をためらっている。

そうした人々は、帰還者がまだテロ集団とのつながりを、持っているかもしれない、と恐れている地元の人々によって、しばしば拒絶されてきていた。イラクのイランの支援を受けたシーア派民兵は、不法拘禁や宗派間の人口動態の変化を含む、恐ろしい違反に関与しているとの非難の中で、グループを倒し、地域に残るのを助けた。

2014年にISがイラク北部と西部の広大な地域を占領しその支配を課した際に始まった紛争の間、何十万人もの人々が家から逃げ出していた。共同体の不信感は現在、イラク政府が戦争によって避難した人々のための「安全で自発的な帰還」の国連支援プログラムの一環として、避難キャンプを閉鎖する2020年の計画を、実施するのを妨げている。

問題はm避難民の家族の多くが、イラク政府とそのコミュニティによって、IS系としてレッテルを貼られていることだ、と人権団体は言う非難は「根拠がない」と言っている。シリアからのISとのつながりが疑われる。数十人のイラク人家族の帰還は、テロ集団の支配の恐ろしさを生き延びた、住民の間で懸念を引き起こしている。

いまでは、バグダッドとISと戦う連合との合意に基づき、クルド人が運営するアル・ホル収容所から、モ-スル南部のガヤラに約90家族が送還された。しかし、この動きは、多くのモ-スルの住民にとって、悪夢を巻き起こし、彼らは地域社会に脅威として、移送されるだろうと目を向けている。

シリアで拘束された家族のさらなる移送は、依然として2年近くにわたるIS支配に苦しむ地元住民からの反対を強めた後、遅れている。政治的不安定が高まる中、一度解放された地域をグループの新しい拠点に変えるなど、ISの脅威は残っている。イラクのシーア派とスンニー派のコミュニティとの関係の面で、避難と移転は二極化しているが、彼らはまた、イラクにおけるスンニ派間の権力闘争をあおっているようだ。