『中東戦争に発展かイスラエル・パレスチナ紛争』

2021年5月16日

『中東戦争に発展かイスラエル・パレスチナ紛争』

 このところ日を追って、激しさを増しているイスラエルとパレスチナの紛争は、あるいは大規模な中東戦争に発展するのではないか、という懸念が拡大している。事実、ヨルダンとイスラエルとの国境地帯では、ヨルダン人がイスラエル軍によって殺害されているし、同様のことはレバノン・イスラエル国境でも起こっている。

 つまり、パレスチナとイスラエルとの戦闘だけではなく、犠牲者がヨルダン人の中からも、レバノン人の中からも発生しているのだ。加えて、パエスチナではガザ地区だけではなく、ヨルダン川西岸地区でも激しい戦闘が、展開されている。

 こうした情況の中でイエメンのホウシ・グループは、パレスチナに連帯して戦う、と言い出しているし、イランもまた然りだ。イエメンのホウシ・グループには2000キロも跳ぶ、長距離ミサイルがあるようで、イスラエル攻撃は充分に可能であろう。

 イランはシリアの基地かミサイルを打てば、イスラエルに届くし、もっと短距離のロケットでも可能であろう。イランはシリアだけではなく、レバノンのヘズブラの基地からも、イスラエルへの攻撃が可能となろう。

 このため、イスラエル国内からはイスラエルはいま、4つの正面と戦争をしなければならなくなった、という声が出ている。ガザに加え、ヨルダン川西岸地区、レバノン、シリアがそれだが、それに加えヨルダンやイエメン、イランも加わるとなれば、まさに中東戦争ということになろう。

 こうした動きの中で、アメリカの動きはと言うと、遅々としているし、立場は明確になっていない。アメリカやヨーロッパでは、反セムの動きが拡大してもいる。これでは戦争の止め役が、いなくなるということではないのか。

 イスラエルは1949年ごろから始まった、アラブとの戦争で常勝国となっていたが、どうやらそれに終りの時が、近づいているのかもしれない。イスラエル軍によるガザ攻撃では、アルジャズイーラの入ったビルも破壊されており、アルジャズイーラの反イスラエル報道は拡大していこう。

 加えてトランプ大統領が進めた、アラブ湾岸諸国とイスラエルとの関係正常化も、この流れの中で吹っ飛んでしまうかもしれない。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の影も薄れ、彼に対する非難が集まろう。イスラエルは危険な地雷に、足を乗せているということであろう。