『バイデンのトルコ懐柔策は成功するのか』

2021年5月15日

 国際的に評判の悪いトルコのエルドアン大統領だが、未だにアメリカはこの人物と手を切れないでいるようだ。アメリカが仕掛ける中東地域での、ダーテイ作戦には必要な国、というのがトルコの位置付けのようだ。

 バイデン大統領が始めた強攻策では、エルドアンの政治的運気は明らかに衰えるなか、アメリカの政策に従うようトルコに強要することを、開始したように思われる。選挙運動中、バイデンは、アルメニア人の大量虐殺を認める、と公約していたのを、忘れてはいなかった。

 他方トルコはといえば、過去数年、トルコは、益々欧米とは東の間の「独立した当事者」の立場をとり、自身の「新オスマン帝国」の野望を実現するため、この立場を利用しようとしている。

 トルコは中国やロシアと、より強い結びつきを発展させ、アメリカ/EUNATOとの結び付きを、無くすべきだと考えているようだ。これは、トルコ政権に、世界は、もはや欧米中心ではなく、戦略上の駆け引きに、かなりの余地があると、益々思うように仕向けたのであろう。

 アメリカ人の多くが、エルドアンをNATO同盟国としてではなく、広範な中東で、アメリカに不利な混乱を作りかねない、独裁者と見ている。より重要なことに、トルコの様々な行動、特にロシアとの防衛協力強化が、特定の時に、NATOを挫折させ、NATO内で危機を引き起こしたように思われる。

 だがアメリカとしては、全てのNATO加盟諸国をアメリカの指揮に、従わせることが必要だと考えているのだ。アメリカはNATO加盟各国に、弱い立場は見せられない、ということだ。

 このためにバイデン大統領は、21世紀に「新オスマン主義」が一体何を提供しようとしているか、世界中の人々が気が付くよう強いた。この認識に対するトルコの反対は、賠償金要求に対する恐れと、その標的となる「新オスマン」領域である。アジアやアフリカや欧米(アメリカとヨーロッパ)からも嫌われる、のけもの国と見られる、恐れの不安から生じている。

 、エルドアン大統領にはいまのところ、限定された選択肢しかないので、即座の反応はないかもしれないが、イブラヒム・カルン大統領報道官は、トルコは慎重に対応を検討するが、対策として、「NATOとの軍事協力を終わらせることさえありうる。今後、異なる形態や種類や程度の対応がある」と付け加えている。