『次期大統領選挙エルドアン当選は無理か』

2021年5月10日

 2023年に控えたトルコの大統領選挙を巡り、幾つもの分析が発表されている。それによると、エルドアン大統領はこれまでとは異なり、国民を引き付ける決め手のアイデアが、浮かばなくなってきているということだ.

 エルドアン大統領の対抗馬として、いま出ているのはアンカラ市長のヤバシュであり、イスタンブールの市長イマモールだ。ユーラシア公共研究センター(AKAM)の調査によると、ヤバシュとエルドアンの大統領選挙で誰が勝つかについて、参加者の29.6%がエルドアンと言い、44.1%がヤバシュと答えている。

イマモ-ルとエルドアンの同様の対決では、エルドアンは28.4%に過ぎず、42.6%はイマモールの勝利を期待すると述べている。別の世論調査会社、アッソイ・アラシュルマによると、ヤバシュは47.5%と大統領選挙でエルドアンに対して、最も多くの票を獲得する政治家であり、イマモールは45.3%だということだ。

こうしたことに対抗して、エルドアン大統領側は市長の権限を取り除くことは、その目的に向けて取られる方法の1つだ。このことは先週、市職員に対する懲戒調査を行う権限が自治体から取り上げられ、内務省に引き渡されたことで明らかになっている。

野党側はと言えば、野党の国家同盟は、主要な野党共和党人民党(CHP)、IYI(良い)党、フェリシティ党(SP)によって、形成された野党ブロックであり、おそらく民主進歩党(DEVA)と未来党(GP)が参加する可能性がある。CHPのケマル・クルチダウール会長とIYIの指導者メラル・アクシェネルは、大統領の共同候補者を指名することに合意した。

ヤバシュはイマモールよりも有利な投票数を獲得しているが、キング・メーカーとしてのクルド人有権者の戦略的地位は、ナショナリストの側から来たヤバシュよりも、クルド人に優しいイマモールを支持している。

クルド人の投票は、イスタンブールでのイマモールの勝利に、重要な役割を果たしているのだ。クルド政治運動の人民民主党(HDP)は、国家同盟を外部的から支持し、2019年にイマモールを有利にした。イマモールはまた、クルド人有権者の間で彼のポイントを獲得する、HDPの政治家とのより良い、個人的な関係を持っている。

さあどうなる次回の大統領選挙。エルドアン大統領はみすみす敗北に、向かうのだろうか。彼は多分、あらゆる選択肢を採ろう。つまり権力による暴力的な野党候補つぶしも、ありうるということだ。もちろん、選挙そのものを、延期することもあろう。