アメリカトトルコとの関係は、実に複雑な情況を、長期間続けてきている。だがここにきて、アメリカとトルコの関係は、以前にも増して悪化していることが明らかだ。トルコは経済的、政治的、軍事的な必要から、アメリカとNATOに依存し続けているが、二国の戦略計画は益々疎遠になってきている。
トルコのエルドアン大統領は、この混乱のさなか、更なるイスラム主義と、ワシントンから一層独立した、国家主義外交政策を、追求する機会を見出しているようだ。アメリカ・トルコ関係は、2016年に起った、トルコ軍内の派閥が実行した、クーデター未遂後、目立って悪化してきていた。
トルコはアメリカとの関係が疎遠になってくると、ロシアからS-400ミサイル・システムを購入した。トルコは更に、もう一つのアメリカ指導部から見た、超えてはならない一線を渡ったのだ。その後、ホワイト・ハウスはトルコに対し、更に多くの圧力をかけた。アメリカは、トルコをF-35次世代主力戦闘機計画から、排除することを決定したのだ。
アメリカの新大統領はトルコの人権実績に関し、より強硬路線をとるつもりであることを、トルコ政府はかなり早期に、警告されていた。エルドアン大統領と現在のアメリカ大統領は、エルドアン大統領がトランプから受けた「概して温かい待遇と対照的に、過去いくぶん気まずい関係だった」と書いている。
2019年時点で、50のうち49のアメリカの州が、第一次世界大戦中のオスマン・トルコによる、アルメニア人大量虐殺を認めていた。米国上院は虐殺を大量虐殺行為と認め、満場一致で決議に賛成投票をした。
そして最近、バイデン大統領が、この政策を公式に認めたのだ。多数の専門家によれば、バイデン大統領の宣言は「トルコに恥をかかせ、必然的にホロコーストとの比較で、その歴史を傷つける以上の、いかなる明白な罰則」も伴わないはずだ。
バイデン大統領がアルメニア大量虐殺を認めた後、トルコの愛国党委員長ドグー・ペルニチェクが、トルコ指導部は「即座にインジルリク空軍基地完全支配を確立し」、そこに駐留するアメリカ軍が、15日以内に撤退させるよう要求している。
アメリカの最近の動きは、トルコのみならず、他の「反抗的な」国々を懲らしめるため、つまり、アメリカ政策の大きな構図の中で自分の立場を知ることの、重要性を教えるために行われたものだ。それ故、どんな形の不従順も、より独立して動こうとする願望も、アメリカに適切に罰せられることになる、ということだ。
トルコに対するアメリカによる締め付けは、今後ますます厳しいものになって行く、ということであろう。