イランとアメリカとは、長い間いがみ合ってきている。双方は相手を最大の敵としているのだが、そうだろうか。どうもアメリカの湾岸諸国政策には、イランが大きな貢献をしているように、思えてならない。
アメリカはイランを敵視し、イランは撃つべしとし、イランの危険性をアラブ湾岸諸国に煽っている。その結果、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などは、イランの軍事攻撃に備え、大量の武器をアメリカから、買っているのだ。
他方、イランはと言えば、アメリカの軍事脅威を語ることによって、国内を締め付けることが出来、国民を皆兵的な雰囲気にしている。イランは反米の立場から、ロシアや中国との関係が、拡大してもいる。
アメリカは軍需産業の国であり、武器が輸出できなければ、経済的には極めて厳しい状態になろう。考えようによっては、イランの存在がアメリカの軍需産業の、宣伝マンになっているということだ。
トランプ大統領の時代には、反イランで明日にでも戦争が始まりそうな、雰囲気であったが、いまはそのようなことは無く、核問題の討議にアメリカが戻る方向に、向かってさえいるようだ。
イランの盟友であるイエメンのホウシ・グループについても、バイデン政権はテロ組織リストから外し、普通の組織と見なしている。この結果、イランは大手を振ってホウシ・グループに武器を売り、ホウシ・グループはサウジアラビアへの軍事攻撃を、日に日に拡大しているのだ。
その結果、サウジアラビアはイエメンのホウシ・グループとの戦争に、勝ち目が無くなってきており、アメリカの更なる保護と、武器を求めることになる。これはアメリカにとっては、大歓迎のイランによるアメリカ支援ではないのか。
もともと、アメリカはアラブよりもイランが好きなのだ。ホメイニ革命後にイランと敵対関係になったとはいえ、何度も危機的な状況が生まれたが、これと言った軍事攻撃はしていない。
なにやら、悪魔の微笑が聞こえてきそうな気がするのだが、真実はどうなのだろうか。