『トルコのクルド弾圧は内戦に繋がる危険性』

2021年3月22日

 トルコはいま非常に危険な段階に、入っているのではないか。これまで2016年以来、クルドのHDP党首である、デミルタシュは逮捕され、投獄された状態にある。彼が釈放される可能性は、今のところ全く見えてこない。

 このデミルタシュ党首の投獄の後、最近ではHDPの議員ゲルゲルリオ-ルが逮捕され、暴力を受けている。彼の指は曲がらなくなり、首にも痛みが残っている、ということも伝えられている。

 1990年代にこのような光景を見ることができた。残念ながら、何も変わっていません」と、ゲルゲルリオールは逮捕中に党を通じてコメントしている。

 ゲルゲルリオールが非合法なクルディスタン労働者党(PKK)を支持して、議会でスローガンを叫んだため、拘禁は正当化されたということのようだ。彼ばかりではない、クルドのHDP党員の市長たち数十人も、その職から追放されているのだ。

 こうした度重なるクルドへの弾圧が、遂に限界点を超え、暴発させるかの知れないという不安が、トルコ国内では出て来ているのだ。トルコのクルド人人口は、3000万前後と言われており、トルコの総人口の3分の1以上であろう。

 既にクルド人たちは、多くの武器を準備し、トルコ各地に隠匿している、と言われているし、対外宣伝のネットワークも、出来ているといわれている。確かに、今回のゲルゲルリオールの逮捕でも、西側のマスコミは口を揃えて、トルコ政府を非難している。

 後はエルドアン大統領が、もう一歩弾圧を強めれば、クルド側にはそれが内戦開始が始まる、サインと受け止められよう。クルド人の多くはシリアでもイラクでも、トルコ内でもテロと戦闘を、繰り返してきているだけに、対応はそう簡単ではあるまい。

 クルド人は大分前からトルコからの分離独立を叫んできていたし、クルドの解放は、リーダーのオジャランがトルコ政府によって、長期間投獄されているということもある。どうやら遂にその時が来たということであろうか。

 内戦となればトルコ人の犠牲者の数も、相当なものに上ろうし、イスタンブールを始めとした都市も、破壊され瓦礫に山と化そう。もったいないことだ。