トルコでは頭脳流出が、大きな問題になっている。既に1万人を超える億万長者が、トルコから逃げ出しているということだ。当然彼らは大金を持って、国外に脱出しているのだから、その経済的ダメージは、相当なものであろう。
過去3年間で1万人以上の億万長者がトルコを離れ、海外に移住している。野党CHPのフェテイ・アチュケル副党首は、これは2002年から政権を取った、AKPの影響だと非難している。
2016年には69326人が出国し、2019年にはそれが136740人に増加しているのだ。彼らが持ち出した通貨額は、2200億ドルに達している。そして、20歳から35歳までの海外移住者は、過去3年間で70パーセントも、増加しているということだ。
問題はその海外移住組みのなかには、高学歴であり優秀な若者が、増えているということだ。例えばイスタンブール高校卒業生やガラタサライ高校の卒業生の、32,6パーセントがそれであり、外国の、例えばドイツ、アメリカ、カナダ、フランスで高等教育を受けた者の人数が、94パ-セントと多い。
また、最も権威ある大学の教授たちの、国外脱出も目立つが、これは2016年のクーデター以後、政府による解任やパスポートの取り消し、社会活動の禁止などによるものだ。つまり、トルコでは学問の自由は、保障されていない、ということだ。
トルコでの権威主義の台頭、宗教的ナショナリズムの強化、財政難、与党AKPによる大学に対する厳格な管理が、その主な理由なのだ。エルドアン体制のトルコに、住みたくない若者たちの多くは、よりよい労働条件と、高い生活水準を求めて、自由な民主国家に向かっているのだ。
これではトルコの将来は、希望が生まれなくなるのではないか。頭脳流出は大きな社会問題であろう。