[国際孤立のなかで戦争外交進めるトルコ]

2021年3月13日


トルコはこれまで、外国に派兵することによって、相手国との関係を強化してきたし、経済にもプラスの結果を引き出すことに、成功したと思っているようだ。同時に、強国トルコのイメージは不満を抱くトルコ国民の、欲求不満を解消し、国内的な反政府の動きを起こさずに、済んできている。

 しかし、その付けは決して成功しているとは言え無い。リビアへの派兵は結果的に欧米、ロシア、エジプトを敵に回し、トルコの立場を弱くしているし、経済的メリットも当初の期待とは、大分異なるものだったようだ。

 シリアも然りであり、トルコはシリアに派兵したが、コロナ患者になって現地で死んでいるか、帰国しているのではないか。シリアへの介入は最初の段階では、石油の盗掘などで儲かったが、いまは別だ。

 アゼルバイジャンも然りだ、大量の武器を持ち込み派兵し、傭兵まで送ったが結果は、ロシアに全て持っていかれ、アゼルバイジャンはトルコに何も与えなかった。それにも懲りずトルコはいま、イエメンに派兵し、サウジアラビアから謝礼を受け取ろう、と考えているようだ。

 イエメンへの派兵も犠牲が多く、結果的にトルコ兵はぼろぼろになって、引き上げるのではないだろうか。その戦争への加担は大きな経済的負担になっており、国内の不満は少なくないだろう。

 トルコの最近の経済状況はといえば、額面的には6パーセントの伸びだというが、インフレ率は15,6パーセント上昇し、トルコ・リラは2018年からいままでに、半分の価値を失っているということのようだ。

 いまトルコでは、13,9パーセントの国民が貧困に苦しんでおり、その数は1200万人ということのようだ。以前は生活に困れば隣人が支援してくれたが、いまではその隣にも余裕が無く、支援できていない。

 ガス代さえも払えずこの寒さのなかで、家に篭るしなかいということだ。加えて、食品の値上がりは酷く、2018年からいままでに、55パーセントも値上がりしているということだ。これでは国民はたまったものではあるまい。

 そうした経済苦のなかで、トルコ政府はエジプトとの関係を改善し、経済再建を考えているが、エジプトとて経済的余裕は無い国だ。あまり助けにはならないと思うのだが。最大の問題はエルドアン大統領の、感情外交の結果であろう。腹を立てると、彼はすぐに相手国との関係、をぶち壊ししてきていたのだ。

 トルコのエジプト接近による、関係正常化の動きは、2013年以来のことであり、既に長い時間が経過しており、そう簡単ではなかろう。仮に両国関係改善に合意して、サインすることが出来ても、それは実質的な動きは生むまい。