『サウジ皇太子とカシオギ殺害問題への米の対応』

2021年3月 3日

 トルコのイスタンブールにある、サウジアラビア領事館で殺害された、カシオギに関しアメリカ政府は、その背後にいるムハンマド・ビン・サルマン皇太子の責任を、問わない方針のようだ。

この事件に関連して、アメリカ政府は関係者と思われる、サウジアラビア人76人の訪米を認めていない。アメリカ政府はムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対し、いまのところ、何らかの対応もする意思は無いが、将来、『我々が選んだ時と方法で、何らかの行動を起こす権利を留保する』とバイデン大統領は語っている。

アメリカ政府の立場は、外国の要人が犯罪に関与していても、制裁を加えていないと語り、イランのハメネイ師やシリアのアサド大統領、ベネズエラのマドロウ大統領たちは、何の法的制裁も受けていない、と語っている。

 だが、アメリカ政府はイスタンブールで起った、カシオギ殺害事件について、未分類の報告書は、サウジアラビアの事実上の支配者(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子)が、カシオギを「捕獲または殺害する」というイスタンブールでの作戦を「承認」した、と結論付けている。

 アメリカは「2017年以来、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、王国の治安と情報機関を絶対的に支配しており、サウジアラビア当局がムハンマド・ビン・サルマン皇太子の承認なしに、この種の作戦を実行した可能性は、非常に低い」とエグゼクティブ・サマリーに付け加えている。

 この事件への関連のなかで、アメリカ政府は事件に関与していると思われる、サウジアラビア人76人に対し、入国を認めていない。つまり、既に何らかのサウジアラビアに対する制裁は、軽度ではあるが始まっている、ということだ。

 バイデン大統領はイエメン戦争についても、アメリカのサウジアラビアへの軍事支援を、終わらせる方向で、考えているようだ。そこで出て来ているのが、『我々は我々が選択した時と方法で、何らかの行動を取る権利を留保している。』という立場だ。加えて『私はムハンマド・ビン・サルマン皇太子が近い将来に、米国に旅行する計画を知らない」とホワイト・ハウスのジェン・プサキ報道官は語っているが、これは明らかにムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪米を許さない、ということであろう。

 加えて、アメリカ政府は「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子には、個人的な結果があるはずだが、彼は金融、旅行、合法を含む制裁を、受けるべきであり、サウジアラビア政府は彼が政府にいる限り、重大な結果を被るべきだ」という立場だ。これに対し、サウジ政府は米国の報告書を、非難している。それは『カシオギの殺害は、皇太子を巻き込むならず者作戦だった』と主張しているということだ。。