『トルコはアメリカの対応に苦慮か』

2021年1月29日

 アメリカの大統領がトランプからバイデンに代わると、世界中で問題が起こっているようだ。なかでもトランプ大統領と、関係のよかった国では、今後、対米関係がどう変わっていくのか、気になるところだ。

 その最たる国はトルコであろう。トルコ政府はトランプ大統領の時代、汚れ仕事をほとんど一手に引き受けて、裏金を稼いできていたからだ。IS(ISIL)への支援はトルコが非公然に、行ってきていたものだが、それはトランプ大統領が黙認していた、あるいは任せていたから、出来たことであろう。

 IS(ISIL)の戦闘員のトルコ通過、武器の提供、軍資金の提供、そのいずれもがトルコ政府によって、行われていたのだ。一説には、こうした仕事でエルドアン大統領は、400億ドルを稼いだ、とも言われている。

 しかし、トランプ大統領からバイデン大統領に代わると、そうはいくまい。早速、アメリカではトルコを見直す動きが、出て来ている。カシオギ殺害事件でも、アメリカはトルコに責任の一端がある、という認識に立っているのではないか。少なくともこの件で、トルコとサウジアラビアとの関係が、悪化することが予測される。

 アメリカの政府高官から、最近はトルコに対する、厳しい意見が漏れてきている。そしてリビア問題については、ことさらにトルコヘの非難が、出て来ているのではないか。アメリカのリチャード・ミルズ大使は、リビアからロシアやトルコの軍は撤退すべきだ、と言い出している。

 リチャード・ミルズ大使は『我々はロシア、トルコ、アラブ首長国連邦を含む全ての外部当事者に対し、リビアの主権を尊重し、リビアへの全ての軍事介入を、直ちに中止するよう求める』と発言した。

 そもそも、アメリカのリチャード・ミルズ大使がこのような、強硬な発言をした背景には、昨年10月23日に署名された、国連支援の下での停戦下で、外国軍と傭兵は3ヶ月以内に、リビアから撤退することに、なっていたのだ。

 しかし、実際にはロシア軍もトルコ軍も、リビアからは撤退していない。このためリチャード・ミルズ大使は、リビアで募集、資金提供、配備し、支援した国の傭兵と軍事代理人を、撤去させるよう求めたのだ。

 今後、アメリカ政府はより強い形での、ロシアとトルコのリビアへの軍事介入を、阻止する動きに出よう。そうなると、トルコは何の見返りも受ける事無く、リビアから撤退しなければならなくなる、ということだ。