『トルコの建設ブームは異常』

2021年1月23日

 トルコではいま大型建築物の、工事が始まっているようだ。まず、エルドアン大統領の夏と冬の宮殿工事が始まる。これはとんでもない高額で、建てられるものであり、コロナと経済不況に泣いている、トルコ国民にしてみれば、まさに天国と地獄の絵図であろう

 もう一つの大型工事は刑務所だ。これは、2016年のクーデター以後に発生した、大量逮捕と投獄事件の延長線上にある。逮捕者投獄者が多すぎて、既存の刑務所では収容しきれないために、刑務所を新設するのだ。規模も相当大きなものになるのではないか。

 さて、このクーデターがらみの大量逮捕と投獄事件は、少なからぬ陰を、トルコ社会に作り出して久しい。言ってみれば、それまで社会的尊敬と脚光を浴びていた、一流人たちが次々と投獄されたのだ。作家、ジャーナリスト、大学教授、評論家はもとより、検事や警察、裁判官に弁護士もが逮捕され、投獄されている。

 この結果、トルコでは頭脳が表舞台から消え、イエスマンだけが幅を利かせる応対になり、次々と起る経済を含めた社会問題に、対応する能力を失っているのではないか。その流れのなかでは、エルドアン大統領の義理の息子、ベラト経済大臣までもが辞任に、追い込まれている。

 なんと刑務所の建設費は、2億9800万ドルだというのだから、相当巨大なものなのであろう。確かに既存の刑務所は満杯になり、収監されている人たちは、寝るスペースが無く、交替で寝ているとも報じられていた。だがそれはそれだけ、投獄者が多いということであろう.

 受刑者の多くが刑務所内で拷問を受け、病気に罹った者は、治療を受けることも無く、死んでいるのだ。まさに地獄絵図であろう。そんなことがトルコでは、21世紀のいま行なわれているのだ。

 トルコ社会はと言えば、失業、インフレなどで、庶民は日々の生活に苦しんでいる。エルドアン大統領側の人たちは、相当に恵まれているが、反対派は地獄であり、ノンポリも厳しい生活に追い込まれているのだ。

 しかし、アッラーはこんな状態を許しはすまい。やがてアッラーの裁きが、トルコの権力者とその追随者たちに、下されるのではないか。トルコの庶民はそう願っていよう。