『バイデン初仕事カシオギでサウジが大変革』

2021年1月21日

 アメリカにバイデン政府が誕生した。その第一の仕事は、どうやらサウジアラビアの大改革にありそうだ。次期情報長官がカシオギ殺害の詳細を、公表すると言っている。述べるまでも無く、この問題はサウジアビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、カシオギ殺害の首謀者かどうかということだ。

 アメリカの次期情報長官候補はアヴリル・ヘインズ女史だが、彼女は上院議員のロン・ワイデンの質問に対して、『公開する』と答えたのだ。それは未分類のカシオギ殺害事件についてのファイルだ。

 この事件は2018年に、イスタンブールにあるサウジ領事館の中で、カシオギが殺害された事件だが、犯人はサウジアラビア政府の、エージェントだったのだ。しかし、トランプ大統領はイラン問題や、サウジアラビア向け武器輸出に、関係しているとして、事件の実態を明かさないで来ていた。

 だが、アメリカの多くの議員は、サウジアラビアのイエメンに対する軍事攻撃は、非人道的だとして非難しており、サウジアラビアを処罰すべきだ、と考えている。そして、この事件の指示は誰が出し、命令し、改ざんしたのかを、明かすことを望んでいる。

 これまで、アメリカ政府はこの事件について、報告書の1ページしか、明らかにしていないのだ。ワシントン・ポスト紙は2018年にCIAが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が命令していた、と報じている。

 国連のアグネス・カラマードは2019年に、カシオギ殺害事件は国家的犯罪だとし、世界に明かすべきだと主張していた。『国際的な法的観点と国際的な政治的観点から、CIAの評価を伴う文書を、公表することは、ジャマル・カショッジの殺害の作戦への、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の個人的な関与を、無視することが、世界の他の国々、特に政府にとって、はるかに困難になるだろう」と語っている。

 カシオギ殺害事件の全容が、明らかにされれば、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は国外に出ることが出来なくなるし、サウジアラビア国内でも、皇太子の職から離れるべきだ、とする声が高まろう。

 サルマン国王も高齢であるため、この問題がクローズアップされれば、ショックで健康を害し、場合によっては死亡する事態も、起こりうるのではないか。その事は、サウジアラビアの権力闘争が、ますます激しいものになり、以前、皇太子によってリッツ・カールトン・ホテルに軟禁された、多くの王子たちが、復帰するのではないか。

 この事件がアメリカによって表ざたにされれば、イランは大喜びし、アメリカとの関係が前進するのではないか。トルコとの関係はまだ分からないが、アメリカ・トルコ関係は悪化するのではないかと思われる。それはトルコが事実を一番よく掴んでいたからだ。バイデン大統領の最初の仕事は、サウジアラビアの大改革か。