韓国の代表団がイランを訪問しているが、この際、一番最初にやるべき交渉の課題は、韓国タンカーの乗組員釈放交渉であり、タンカーの返還が続くはずだ、と誰もが思うだろう。
しかし、韓国代表団がイランと交渉する第一のテーマは、その乗組員釈放やタンカーの返還ではなく、イランの凍結資金についてだというのだ。それもまた然りといえばそうであろうが、なんとなくしっくりしない、それをイランも感じているようだ。
イランの外務省報道官である、ハテブ・ザーデが語るところによれば、韓国の代表団はタンカーの乗組員の釈放交渉ではなく、あくまでも凍結資金問題だというのだ。2018年以来、韓国はイランに対して、石油代金を払っておらず、その合計額は65億ドルとも、90億ドルとも言われている。
イランにしてみれば怒り心頭であろう。いまのイランはコロナ・ワクチンやコロナ検査資材の確保に、少しでも金が必要なのだ。それが韓国の未払いのために、思うように行っていないのだ。
韓国はこの不払いが、アメリカの制裁の強化による、と言い訳をしてきているが、人道的物資の購入は、この限りではなく、韓国の未払いは韓国の、外貨事情によるのであろう。
他方、韓国はタンカーよりも、乗組員の釈放よりも、石油の確保が第一義であり、それを交渉したいということであろう。だが、問題は金の支払いであり、韓国にその金があるのかということだ。
イラン側はこののらりくらりし、へ理屈を並べる韓国との交渉に、辟易していることであろう。それが最後には爆発し、完全な石油輸出停止ということになれば、韓国は凍え死んでしまうような、寒さの冬を過ごさなければなるまい。
イランではコロナの薬や、医療資材がなくて国民が死亡し、韓国では石油がなくて死亡する、ということであろうか。冗談とも言え無い情況に突入しつつあるのが、韓国とイランの現状であろう。