『トルコはロシアと協力関係に』

2021年1月 3日

 イスラエルのエルサレム・ポスト紙が、とんでもない詳しい記事を掲載している。その内容は、トルコがロシアと協力して、中東地域を支配するということのようだ。その方法はどのようなものなのか、概略を紹介する。

 リビア、地中海、コーカサスでは、ロシアとトルコの協力体制が、構築されている。最近この地域で起こっている紛争は、皆ロシアとトルコが、地域を支配するための、計画だというのだ。

 トルコは地域でのアメリカの影響力を減らすために、ロシアやイランと協力作戦を、採っているということのようだ。トルコは例えばシリアでは、国土の北の一部を分割し、米軍をシリアの東部地域から排除し、過激主義者勢力を増したというのだ。

 リビアも然りであり、かつてはアメリカの影響を強く受けていたのだが、カダフィ時代を経て、いまではトルコの思いのままになっている。そして、リビアはトルコの送る兵士や、傭兵の遊び場になっている、ということだ。

 アゼルバイジャンとアルメニアとの戦争も、結局はアメリカのこの地域への影響を排除し、トルコとロシアの影響下にはめ込んだのだ。そして地域は完全に分割されることとなったのだ。

 トルコは1915年に、アルメニア人に対する大量虐殺をしたことで、国際的な非難を受けてきたが、今回の戦争で完全にその犯罪記録が消されることになった。加えてこのコーカサス地域は、ロシアの影響力を大幅に、強めることとなったのだ。

 トルコは国営メデアを通じて誤った情報を伝え、ジャーナリストや反体制派を弾圧し、アメリカを非難し、ロシアに接近している。また、シリアではアメリカ軍を、シリア東部から追い出し、ロシア、イランとの協力で地域への影響力を、拡大しているのだ。

 2008年のグルジア紛争では、グルジアがアメリカの支援に、期待を寄せていたのだが、結局は支援を受けられずに敗退し、アメリカの影響力も消えた。そして、今回のアゼルバイジャンとアルメニアの戦争の結果は、この地域から完全に、アメリカを追放することになったのだ。

 今ではアルメニアに平和維持部隊を結成し、ロシア軍が入りこんでいる。そしてロシアはトルコと協力し合っているのだ。つまり、アルメニアにはもう自由は無くなった、ということだ。アルメニアはロシアとトルコの、完全な支配下に置かれたのだ。

 もう世界は、アメリカの単独支配の時代は終りを告げ、トルコやロシアが台頭している、ということだ。その結果、アメリカは弱体化し、民主主義や自由も犯されたのだ。地域は過激主義社や独裁主義者、権威主義者によって、牛耳られることになる。

 さてそれはそうであろうが、何故イスラエルがこれだけの、過激な記事を掲載したのであろうか。イスラエルは明らかに、トルコのエルドアン体制を嫌悪しており、アメリカとの協力で打倒する気なのであろう。もちろん、この記事はエルドアン大統領も読んでいようから、対抗策は練られているはずだ。次の展開が気になるところだ。