『アメリカ軍撤退でISの攻撃が99%減少』

2021年1月14日

 『アメリカ軍撤退でISの攻撃が99%減少』

 アメリカ軍がシリアやイラクから、段階的に撤退していることは、多分、多くの日本人も知っていることであろう。その結果どのような状態が発生しているのか、気になるところだが、どうもアメリカが考えていることとは、異なるようだ。

 なんとアメリカ軍が撤退した後、IS(ISIL)による攻撃は大幅に減少し、イラクからの報告によれえば、イラク北部のキルクークでは、99パーセントの攻撃が、止まっているというのだ。

 このことについての報告は、イラクの民兵組織であるハシド・シャアビの幹部であるアリー・アルフセイニが、イラクの通信社マアルーマに語ったものだ。彼の語るところによれば、アメリカ軍がキルクークのK1基地から撤退すると、IS(ISIL)による砲撃は、99パーセント減少したというのだ。

 つまり、アリー・アルフセイニ氏に言わせると、アメリカ軍の撤退の結果、キルクークの地域は安全かつ、安定化したということだ。これまでアメリカ軍が語っていたのは、アメリカ軍が撤退すれば、地域は不安定化して、住民の安全は脅かされる、というものだった。だから、アメリカ軍はイラクに駐留するのだ、と説明していたのだ。

 この結果は、今後のアメリカ軍のイラク国内での動きに、どのような影響を及ぼすのであろうか。考えてみると幾つもの想定が、可能になろう。

 一つはアメリカ政府が考えている、アメリカ軍のイラク領土からの撤退を、容易にするといことであり、それにIS(ISIL)は賛同し、現在は攻撃を控えている、ということであろう。だが、それは何時までもイラクが、IS(ISIL)の攻撃を受けない、ということではない。

 アメリカ軍が撤退してしばらくすると、IS(ISIL)は安心してイラク側に、攻撃を強化することが、考えられるのだ。そうなればイラク国民の多くは、アメリカ軍の再駐留を希望するように、なるのではないのか。

 もう一つの予測は、IS(ISIL)がイラクに留まり、そこを楽天地と考えて、過激な行動は控え、キルクークの住民との共存を図る、ということだ。この推測はある程度納得がいこう。既にIS(ISIL)の戦闘員たちは戦いに疲れており、安住の地を求めている、という推測に基づいてだ。

 しかし、シリアでの戦闘、イラクでの最近の戦闘拡大などを見ていると、IS(ISIL)の幹部の方針も、戦闘員の考えも、イラクのキルクーク住民のとの安全な生活を、求めているとは思えない。 

 そうだとすれば、考えられるのは最初の一時的な停戦ではないのか。そして、その後は、再度激しい攻撃を繰り返してくる、ということであろう。さあ、そうなった場合、アメリカはどう世界に、イラクからの撤退を、説明するのであろうか。