『フランスがハフタル将軍に戦闘控えろ』

2020年12月30日

 フランスがエジプトと時期を一にして、リビアのハフタル将軍側に、戦闘を停止するよう呼びかけた。フランスはハフタル将軍側に対し、話し合いによる問題の解決を、図れと言っているのだ。

 つまり、いまはリビア問題の政治的解決が、可能な雰囲気になってきている、ということであろうか。それはつまるところ、アメリカの大統領選挙がまだ話が付いていないことに、よるのではないか。

 トランプ大統領が大統領職を継続できるのか、あるいはバイデンに代わるのかによって、国際政治の流れは、大分変わりそうだからだ。これはリビアばかりではなく、サウジアラビアやアラブ首長国連邦にも、影響を与えている。両国はバイデンにアメリカの大統領が交替した場合のことを、考慮しなければならなくなっているのだ。

 ロシアもしかりであり、アメリカとの間で持ち上がっている、サイバーテロ問題を解決しなければならなくなっている。従って、あまり目立つ行動はリビアでは、採れなくなっているというのだ。

 ロシアはワグナーと呼ばれる傭兵軍団をリビアに派兵し、ハフタル将軍側を支援しているし、武器も送り込んでいる。だが、やりすぎればアメリカ大統領がバイデンに交替した場合は、ロシア・アメリカ関係は難しい問題を、作ってしまうことになりかねないのだ。

 トルコもリビアに深く関与している国だが、この国も今後の対応が、問われることになろう。トルコのリビア問題への関与は、実際には弱まっているようだ。リビア東西政府が行なったモロッコ会議では、リビアの東西両政府はトルコの関与を認めなかった、トルコは蚊帳の外に置かれたのだ。

 今回フランスが出てきたが、トルコのリビア関与が薄れるなかで、エジプトが大きく躍進していた。リビアに関する種々の情報は、トルコに代わってエジプト経由で、伝わっているのだ。そしてもう一つ見逃してはならないことは、セラジ首相の陰が薄くなり、国際交渉にリビアに西側政府は、外相が出てくるケースが増えている。

 セラジ首相は大分前に、辞任を希望する旨を語っていたが、ここにきてセラジ首相が降板し、外相が首相になるかも知れない。その結果、リビア問題の解決の流れに、大きな変化が起るかもしれない。

 こうしたことをみな含めて、リビア問題は解決に向かっており、それを支援するのはエジプトに加えフランスが登場した、ということではないのか。ハフタル将軍にとってはこの新しい流れは、決して不利ではあるまい。