『リビア情勢への対応・トルコエジプト本格介入』

2020年12月28日

 10月だったかにモロッコで開催された、リビア東西政府の交渉の結果、双方は停戦に合意していた。しかし、その後も小規模な武力衝突が、報告されている。だが、東西リビア政府の合意と、国連などの介入もあり、関係諸国はリビアへの武器や兵員の、送り込みは出来無いことになっている。

 ここに来て、トルコが業を煮やしたのであろうか、このまで行けばリビア国内でのトルコ軍は、孤立することになり、戦争介入からの成果は、何も得られないことになりかねないのだ。だがトルコは東西両政府に歓迎されず、モロッコでの会議でも、蚊帳の外に置かれた感じがする。

 そうした流れのなかで、トルコは再度リビアへの介入意志を、強めたのであろう。アカル国防相をリビアに派遣し、西側政府GNAとの交渉をしている。この結果考えられることは、トルコによるGNA強化策であり、武器の搬入であろう。

 しかし、そう簡単にはいくまい。トルコは国連など国際社会に、どう自国の立場を正当化するのであろうか。既にGNAのセラジ首相は大分前から、辞任したいと言っていた。それは自分の命が危険にさらされることを、充分承知しているからであろう。

 腰の引けているセラジ首相を、無理やり舞台に押し上げて、トルコは戦争を継続する気なのだ。こうなってくると、穏健な関与をしてきていたエジプトへの評価は、おのずから上がることになる。

 このところリビアの国内情況と、問題の推移に関する情報は、トルコからではなく、エジプトから出て来る場合が、ダントツに多くなっている。それは東西両政府が、カイロ詣でをしているからであろう。

 トルコはそうした流れのなかで、ハフタル軍の攻撃には応分の反撃をする、と言っているが、何を根拠にそう言っているのか分からない。ハフタル軍側にはエジプト、アラブ首長国連邦、ロシア、フランスと多くの国々が、加勢に入っているのだ。

 トルコはハフタル将軍と彼を支援する敵と戦い、殲滅させると強弁しているが、果たしてそれは可能なのであろうか。実はこれはハフタル軍側に対して、トルコ軍には手を出すな、出さなければ攻撃しないと言っている、ということであろう。

 ハフタル将軍はこのトルコの発言に、何も返答していない、ハフタル将軍のトルコに対する沈黙は、相当な圧力であろう。そうしたなかで、エジプト政府が治安外交代表団をトリポリに送り、セラジ政府と、交渉させているのだ。

 エジプトはソフトにセラジ政府に対して、妥協を要求しているのであろう。もし情況が進み、セラジ首相に亡命の必要が出てきた場合は、エジプトが亡命を認める、ということかもしれない。どうやらトルコの強弁とは異なり、リビア問題はエジプト主導で、解決に向かっているのではないのか。