『アメリカのイラン対応は正当か』

2020年12月20日

 アメリカがイランに制裁措置を取り始めてから、大分長い時間が経過している。この期間、イランはアメリカを始めとして、西側諸国との貿易が、凍結した状態になっている。イランが外国から輸入するのも、外国へ輸出するのも問題があり、スムーズにはいっていないのだ。

 問題はこうした状況下では、新型製品の輸入が出来無いということよりも、物が売れず外貨が減少してしまう。そして一番の問題は、医薬品の輸入が、うまく行かなくなっているということだ。

 いま世界中がコロナの蔓延で、苦しんでいるのだが、イランはアメリカの制裁により、コロナ・ワクチンの輸入だけではなく、検査薬なども医療器械も輸入出来無いでいる。そのために、イランではコロナ患者が、多数危険な状態にあり、死亡しているのだ。

 イランのザリーフ外相はこの情況を悲観し、アメリカやヨーロッパが進めるイランへの制裁は、イラン人を殺している。子供たちもその被害に会っている、これが人道主義をとなえる、アメリカやヨーロッパの正義なのであろうか、と非難している。

 イラン政府は打つ手がないため、コロナ感染の危険のある国民に対して、援助金を支給することを決めた。その援助金の受給対象者数は、既に数千万人に達しているということだが、支給される金額は一人当たり、3~5ドル程度の小額なのだ。

 コロナの脅威はアメリカも充分分かっており、イランの窮状も分かっているはずなのだが、それにしても腰が重いというか、対応をしようという意識は、まるで無いようだ。イラン人は人間では無い、とでも言いたいのだろうか。

 イランはこうした欧米の対応について、ダブル・スタンダードだと非難しているが、そんな程度ではあるまい。日本もイランに対しては、種々の制裁を行なっている。少なくとも、人道的な対応だけは、やって欲しいと思うのだが。例えば酸素吸入器の輸出や、コロナ感染を調べる検査キットなどの輸出は、考えられないものだろうか。

 国際関係、国際連携が人道の鎖を、切りまくっているということを痛感する。何とか日本政府の暖かい対応を、期待したいのだが。