『アメリカ遂にトルコに三行半』

2020年12月17日

 アメリカはこれまでよく我慢をして、エルドアン大統領を相手にしてきたと思う。しかし、やっとそれにも限界が来たようだ。アメリカがあきれたのは、トルコがアメリカが非難しているイランよりも、独裁国家になっていることに始まっている。

 トルコはシリアでのSDF(クルドの組織シリア民主軍)の動きを非難し、この組織はトルコの反体制テロ組織PKKと、連携関係にあると主張した。だがSDFはアメリカにとっては、IS(ISIL)掃討の協力者であり、テロ組織ではないことになっている。

 このトルコとアメリカの主張は、いずれも正しくは無いが、現実はそうした認識の上で、動いていた。アメリカはあくまでも、SDFはテロ組織とは関係がない、と言い張っている。トルコにしてみれば、アメリカがシリアをトルコに任せきりにするだろう、と考えていたようだが、それは期待外れだった。

 表面的には良好な関係に見えた、トルコとアメリカだが、トルコがパレスチナのハマース組織を、支援することが明らかになったために、イスラエルとの関係上トルコヘの対応を、変更せざる得なくなったのだ。

 加えて、アメリカにとって不満だったのは、トルコがイランと良好な関係に、あることだった。トルコは大量のガスをイランから、安価に仕入れていたのだ。それは述べるまでも無く、アメリカのイランに対する経済制裁を、失敗に終わらせるものだった。

 トルコが進めたロシアからのS400ミサイルの輸入も、アメリカを激怒させるものだった。同じNATOの加盟国が敵国であるロシアのミサイルを購入するとは、許せない行為だったのだ。

 このトルコによる、ロシアのS400ミサイルの輸入は、軍事上極めて大きな問題を、内包していた。つまり、ロシアのS400ミサイルは、アメリカのF35ミサイルの機密情報を、全部抜いてしまうものだったのだ。

 トルコ国内でのクルドの政党HDPに対する、トルコ政府の締め付けも、アメリかにしてみれば、許せることではなかった。HDPの市長が何人も、政府によって首にされたし、選挙の投票でもHDP票は、不正に処理されていた。

 シリアのアフリンでの、クルド人やヤズデイ教徒に対する、トルコの対応も許せるものではなかった。彼らはトルコ軍とシリアの反政府テロリストによって、浄化されていたのだ。

 アゼルバイジャンとアルメニアとの戦争でも、トルコはシリアで集めた戦闘員を送り込み、多くのアルメニア人を虐殺している。この殺戮に当たったのは、トルコがシリアで集めたスンニー派の、FSA(自由シリア軍)傭兵だったのだ。彼らの一部は、リビアの戦闘から離れ、ナゴルノカラバフに送り込まれたのだ。また、シリアで新に徴用された、FSAの戦闘員たちもいた。

 こうしたトルコによる数々の問題行動が、遂にアメリカをしてトルコを、敵性国と見なすようにさせたのだ。アメリカはいまの段階では、トルコに対する経済制裁を発動しているが、これからは制裁の範囲が、広がっていくことであろうし、エルドアン体制の不都合な情報も、暴露されることになろう。