アメリカ軍がシリアに侵攻して、既に大分年月が経過している。当初、アメリカ軍がシリアに入っていたのは、IS(ISIL)を掃討するためだと言っていた。しかし、それは事実ではなく、シリアの重要部分を支配することが、主たる目的であった。
その一つは、シリアのユーフラテス川東部にある、石油を盗むことだった。盗掘とはいうものの、その手法はオープンであり、略奪といった感じだ。トランプ大統領はシリアの石油資源について、アメリカ軍が出た後も、アメリカの石油会社に掘らせ続ける、と明言している。
つまり、トランプ大統領の頭の中では、シリアのユーフラテス川東岸の石油は、アメリカのものだということだ。アメリカはシリアの石油を自国の石油として、考えているということであろう。
シリアからのアメリカ軍による盗掘は、現在も続けられており、シリアのハサカ県ルメイラン油田の石油が、シリアからイラクに運び出されているのだ。それは16台の装甲車に守られ、43台の運搬用タンクローリーなどで構成された、一団となっている。これらの車両群はワリード国境を経由して、イラクの西部に運び込まれているのだ。
アメリカの共和党議員リンジー・グラハム議員や、ポンペオ国務長官は上院公聴会で、このことについて、それは事実だと認めている。そして、この盗掘にはSDF(クルド民主軍)も加担している。ということは、石油収入の一部はSDFの軍資金に、回っているということであろう。
もちろんシリアのハサカ県住民による、アメリカ軍の占領と盗掘に対する、反対するデモは起こっているが、何の効果も出ていない。アメリカにしてみれば、まさに馬耳東風なのであろう。
そればかりではない。シリアではアメリカの蛮行が、おおっぴらに行なわれており、シリア軍が押収した、武器の量は膨大だ。シリアの南部地域では、大量の武器弾薬が見つかり、シリア軍によって没収されたが、このなかにはドローンも含まれているようだ。
これらの武器弾薬は、タクフィールつまりIS(ISIL)に、渡っていたのだ。アメリカ軍とSDF、そしてIS(ISIL)が共同作戦を行っている、という構図なのだ。