『サウジアラビアの属国バハレーンが危険に』

2020年12月 6日

 当然と言えば当然の結果なのだが、バハレーンがいま危険な情況に、向かい始めているようだ。バハレーンはアラブ首長国連邦に次いで、イスラエルとの関係正常化を行った国だ。

 次いで、バハレーンが行ったことは、世界中の政治家、役人、外交官などを集めての、地域平和会議の開催だった。当然この会議には、イスラエルからも代表団が参加し、会場のリッツ・カールトン・ホテルではユダヤ人用の、コ-シェリ料理も提供された。

 現在の情況はと言うと、オマーンがイスラエルとの関係正常化を、多くの国々に働きかけているが、この国はイランとの関係も良好なのだ。従って、オマーンはある意味でイスラエルとイラン、アラブ湾岸諸国の、重要な仲介国になっている、ということだ。

 オマーンのアブドルラテイーフ・アルザヤーニ外相は、あまりにも長い間、中東地域が世界的に問題の多い地域と見なされてきていたが、そのイメージを転換して、安定的な地域とするべきだ、という趣旨の演説をしている。

 しかし、問題は山積であり、中心的なパレスチナ問題の解決には、イスラエルとの間に、全くめどが立っていない、とサウジアラビア代表はこぼしている。確かにいま湾岸地域は、多くの問題を抱えている。イランのイラクへの影響力が、大きくなっていることも、その原因の一つであろう。

 怖いのは、バハレーンのこうした派手な動きが、イランを刺激することだ。イランにとってイスラエルは第一の敵国であろうが、それを歓迎する動きは、イランにとって腹立たしい限りであろう。しかも、こうしたバハレーンの動きの後ろには、ユダヤ人のトランプ義理婿クシュナーがいるのだ。

 そうなるとイランはこれから、バハレーンに対して、種々の工作を試みるのではないか。当面考えられることは、バハレーンのシーア派国民に働きかけて、反政府運動に火を点けることであろう。

 人口が少ないこの国では、国民の反政府運動を抑えることは、容易なことではないのだ。しかも、バハレーンは王家が少数派のスンニーであることから、簡単に不満の炎は燃え上がる要素が、あるということだ。もちろん、このことについては、サウジアラビアが徹底的にバハレーン国民の締め付けを、行なっているであろうから、もし火が点くようなことになれば、バハレーン国民の間に相当の、犠牲が出るということに、なるのではないか。

 小国の泣き所であろう。それはカタールも同様であろうし、クウエイトもそうだ、これらの国では出来るだけ、国民の不満を払拭する、政策が取られている。しかし、石油価格が低下しているなかでは、それも厳しいのではないか。