『クルド地区のガスをイラク政府は使用しろと米』

2020年11月25日

 イラクの北部クルド人が自治権を有している場所は、ガスや石油が産出する地域で知られている。この地域のガスや石油は、トルコが権益があるように、買いまくってきていた。多分、価格は相当低く、抑えられているものと思われる。

 つまり、イラク北部のクルド地区とトルコは、一つの国のような感じになっているのだ。バルザーニ大統領は自分の資産のほとんどを、トルコに投資しているとも言われており、何時でもトルコに逃げ出す用意が、出来ているということであろう。

 そこに今回、アメリカが割って入り、イラク政府に無理難題を、押し付けようとしている。それは、イランからガスを輸入することを止めて、北部イラクつまりクルド地区で産出するガスを使え、と言い出したのだ。

このことは一石二鳥であろう、一方ではトルコの経済にダメージを与え、他方ではイランの経済にもダメージを与える、という効果が期待されよう。だが、物事は自分が妄想している通りには、なり難いのではないのか。

もし、アメリカの助言という押し付けが、実行されるようなことになれば、イラクに入っているイランの革命防衛隊が、アメリカ軍を攻撃するであろうし、イラン寄りのイラクのミリシアも、その戦いに参戦することになろう。

イラクのシーア派のリーダーである、サドルやシスターニ師も、これを煽ることになろう。イランに経済的ダメージを与えることは、イラク国内のシーア派に対する支援が、減ることになるからだ。

トルコとて同じであろう。クルドとのエネルギー取引を止められれば、そうでなくとも苦しいトルコの経済状態は、ますます苦しくなるからだ。当然、トルコはアメリカに攻撃を加えることになろう。それはイラクのなかの反アメリカの、ミリシア・グループを支援することによろう。

アメリカとトルコとの関係は良好、というイメージをトルコ政府は、何度と無くは報じているが実態は別だ。アメリカはトルコをコントロールしたいと思っており、それをトルコはよしとしていない。トルコとEUとの関係がこじれていることは、アメリカにとっては好都合であろう。

こうした面倒くさい構図をアメリカは上手く、コントロール出来るのであろうか、あるいは大統領の座を降りるかもしれない、トランプ大統領の最後っ屁であろうか。